2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁気微粒子合成オルガネラの再構築による有用物質生産磁性細菌の創製
Project/Area Number |
23226016
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松永 是 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 学長 (10134834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新垣 篤史 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10367154)
吉野 知子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30409750)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 応用微生物 / ゲノム / 組織・細胞 / 生体機能利用 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
磁性細菌は、マグネトソームと呼ばれる細胞内小器官内で磁気微粒子を合成する能力を持つ細菌である。これまでの研究において、マグネトソームの形成と維持に関わるタンパク質は、Magnetosome island (MAI)と呼ばれる約70-100 kbpの遺伝子領域に保存されていることがわかっている。本研究では、MAIにコードされる遺伝子群の再編によって、磁気微粒子の形態やサイズを制御し、さらに同遺伝子領域の導入によって、磁気微粒子を合成能を持つ新規有用物質生産微生物の創製を行うことを目的としている。 平成24年度は、磁気微粒子の形態制御に関与する遺伝子の欠損株を作製し、その表現型を電子顕微鏡により観察することで個々の遺伝子の機能同定を行った。解析の結果、磁気微粒子の形態制御には複数の遺伝子が関与し、互いに相補的な役割を果たして磁気微粒子形態を決定していることが明らかになった。次に、これらの遺伝子がコードするタンパク質の細胞内局在性解析を行った。蛍光タンパク質の融合によって解析を行ったところ、これらのタンパク質は互いに相互作用し、マグネトソーム上に発現していることも明らかになった。また、マグネトソーム表面に局在するMamYタンパク質と相互作用する脂質の探索を行った。その結果、MamYタンパク質はある種のリン脂質に特異的に相互作用することでマグネトソーム表面に局在し、その形成に関与することが示唆された。MamYタンパク質を用いたリン脂質から構成されるナノチューブの作製にも成功している。さらに、遺伝子領域とベクターの連結反応を連続的に行うことにより、目的とするmam遺伝子クラスターとmms遺伝子クラスターのクローニングを行った。人工磁性細菌の創製に向けて、現在、これらをMAI領域を欠損した磁性細菌株及び光合成微生物に導入する検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、磁性細菌の磁気微粒子合成に関わる遺伝子群を明らかにすると共に、これを異種細菌に導入することで、人工的な磁性細菌の創製を目的とすものである。これまでの研究において、磁気微粒子合成遺伝子の候補を絞りこみ、さらに異種の磁性細菌に磁気微粒子合成遺伝子を発現することに成功した。その確認のための解析技術も確立した。また、磁気微粒子合成に関わる大きな遺伝子セットのクローニングに成功し、異種細菌への導入にも着手している。これらの検討は、当初困難が予想されたため、計画を可能な限り前倒しして進めてきた。その結果、ここまでの研究において次年度以降に必要とされる基盤技術と解析手法の確立を達成したことから、当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気微粒子合成遺伝子群の再編成による磁気微粒子の形態制御と磁気微粒子合成能を持つ新規有用物質生産微生物の創製に向けて研究を進めている。これらの検討は全く新しい試みであることから、多様な方策を施す必要があることも想定されるため、当初の計画より前倒しして研究を進めることとした。また、合成生物学を中心とした当該研究分野は進展著しいことから、関連する研究の進展状況を迅速かつ柔軟に見極めながら研究の方針を定め、研究を推進していく予定である。
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