2013 Fiscal Year Annual Research Report
磁気微粒子合成オルガネラの再構築による有用物質生産磁性細菌の創製
Project/Area Number |
23226016
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松永 是 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 学長 (10134834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新垣 篤史 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10367154)
吉野 知子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30409750)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 応用微生物 / ゲノム / 組織・細胞 / 生体機能利用 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
Magnetospirillum magneticum AMB-1株における結晶成長に関与するタンパク質の機能領域を同定するため、遺伝子組換えによりアミノ酸配列の部分欠損株を作製し、C末端部に近い酸性アミノ酸領域が形態制御に大きく寄与していることを明らかにした。酸性アミノ酸を塩基性アミノ酸に置換した場合においても、タンパク質機能は不活性であることがわかった。また、N末端側に存在する疎水性領域もタンパク質の機能に必要であることを明らかにした。 タンパク質発現誘導システムを利用し、細胞内のマグネトソーム合成を制御する系を構築した。結晶成長に関わる遺伝子の欠損株に、同遺伝子の発現誘導ベクターを導入した形質転換体を得た。外部から化学誘導剤を添加することにより、形質転換体の遺伝子発現が誘導され、その結果、磁気微粒子の結晶成長が促進されることを示した。また、培地中への誘導剤の添加量により、磁気微粒子のサイズが制御可能なことを示した。 蛍光タンパク質タグをマグネトソーム合成関連タンパク質に融合発現させることで、タンパク質の局在性の解析を行った。タンパク質の局在はその機能と関連しており、細菌の細胞ステージと発現量・局在との関係を明らかにした。 さらにマグネトソーム表面への外来タンパク質発現の増大を目指し、AMB-1株のホスト株の改変を行った。内在性プロテアーゼ遺伝子の欠損株では、プロテアーゼによる外来タンパク質の分解が抑制されることを示し、マグネトソーム上の外来タンパク質の発現量増大に成功した。一方、マグネトソーム表面タンパク質の遺伝子欠損株では、マグネトソーム上の外来タンパク質の発現スペースを確保することにより、発現量を増大させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の前半では、マグネトソーム再構築のための基盤研究としてマグネトソーム合成関連タンパク質の機能・発現・局在解析を行い、合成機構に必須の因子を抽出することを計画した。後半では、マグネトソーム合成関連遺伝子の再編による有用物質生産微生物の創出と、機能性材料の創製を目的としている。そこで、これらの研究計画を確実に達成するため、前半の研究項目を進めつつ、後半の研究項目の重要課題を前倒して進めてきた。その結果、最も重要な課題の一つであるマグネトソーム合成関連遺伝子の再編成と、同遺伝子の遺伝子欠損株への導入によるマグネトソームの再構築に成功した。また、光合成細菌へのマグネトソーム遺伝子の導入とその発現確認にも成功している。これらの成果に基づいて、光合成細菌においてもマグネトソームの再構築が十分可能であると考えられ、当初の目標に向けて順調に研究が進展していると考えている。さらに、組換え株の創出の中では、当初予期しなかった興味深い結果が得られており、今後の2年間においてはこれらの詳細な解析も進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の研究項目について検討を行う。これらの項目の一部については、既に検討を開始している。 -磁気微粒子合成過程におけるタンパク質の細胞内局在解析法の開発 -未培養磁性細菌からの磁気微粒子合成関連遺伝子のスクリーニングと磁気微粒子合成への利用 -磁気微粒子合成に関与する遺伝子群の再編成による磁気微粒子の形態制御 -磁性細菌の遺伝子導入による磁気微粒子合成能を持つ光合成微生物の構築
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