2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23240001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 浩 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80183010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 茂 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30362833)
松本 啓史 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60272390)
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Keywords | 量子計算理論 / 量子グラフ理論 / 量子コンピュータ / 計算量理論 / グラフマイナー理論 / イジングモデル / 分配関数 / 指数時間アルゴリズム |
Research Abstract |
情報科学技術が社会基盤として重要性をさらに増している一方、現在の計算モデルに基づくスパコン等の先端コンピュータは、VLSIの微細化、並列化そして消費電力の問題において諸限界に直面している。本研究課題では、現行コンピュータにおける諸限界を乗り越えるモデルとしての量子計算の計算能力を解析し、新たな情報処理の可能性を切り開くことを目指し、次の3点を研究の軸に据えて取り組んでいる: (1) 量子多証明者対話証明系に基づいた量子パーフェクトグラフ理論を確立し、そこから量子計算の量子通信さらに量子情報の諸問題にフィードバックした研究展開を行い、 (2) 物理実現の観点から提案されている測定ベース量子計算について、そこで現れるグラフ・結び目等をグラフマイナー理論によって離散構造解析して量子グラフ理論を確立し、物理実現における両モデルの計算能力を解明していく。 (3) トポロジカル量子計算や量子計算量、量子情報の諸問題について、古典関連分野のセキュリティ等も含め幅広くアプローチを図ることによって、量子情報処理の多様な可能性を追求し、量子計算研究の対象領域を拡張することを行う。 初年度の研究では、(1)に関してパーフェクトグラフ理論での彩色問題に着目し、その量子2証明者対話証明系での量子彩色問題が、情報処理において種々の量子効果を明らかにすることを示した。具体的には、量子測定のランクを限った場合と限らない場合での能力差の有無に関する未解決問題を肯定的に解決し、計算の観点から量子力学操作の階層構造を示した。(2)に関しては、グラフマイナー理論の先端研究であるランク幅の測定ベース量子計算モデルでの有用性について調べ、次年度以降で物理不変量を計算する新たな量子アルゴリズムへと進めるための展望を得た。さらに(3)に関連して研究グループ全体で広く量子計算・量子情報に関する成果を上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
量子パーフェクトグラフ理論については、本グループとヨーロッパのグループが切磋琢磨しながら研究を推進している状況であり、2012年度における活動に向けて、本年度中にまず1つヨーロッパグループから提示されていた未解決問題を解決し、一歩先んじることができた。グラフマイナー理論の面でも、点を中心とした点マイナーの理論が測定ベース量子計算と密な関係にあることを見出しつつある。連携研究者の独自成果も含め、他の研究についても、広く量子計算と量子情報に関する成果を着実にあげてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従いつつ、進展状況を鑑みてより高度な成果に結びつけられると判断した場合には計画を拡張するなど柔軟な姿勢で研究推進することを企図している。研究メンバ同士の連携も潤滑に進んでおり、本研究課題の活動にとどまらず、国際会議や日仏研究交流等の所属機関間の交流活動においても協力体制による成果を着実にあげてきている。この体制を今後も継続しながら、総体的な成果を出すことを目指す。
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Research Products
(26 results)