2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23240001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 浩 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80183010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 茂 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30362833)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 量子計算理論 / 量子グラフ理論 / 量子コンピュータ / 計算量理論 / グラフマイナー理論 |
Research Abstract |
本研究課題の最終的な目標である現行コンピュータの諸限界を乗り越えるモデルとしての量子計算能力の解析を目指して、以下のようにテーマごとに研究分担者の山下、連携研究者の松本、村尾、Le Gall、河村らと役割分担を行って研究を進めた。 (1) 複数量子計算モデルでの離散数理および物理実現からの研究【今井・松本・村尾・山下】:本研究の要となる研究であり、物理実現に基づき、数理的に能力差の有無を示すことができる測定ベースモデルや位相モデルなど複数の量子計算モデルを対象として、それぞれの有するグラフや結び目等の離散構造の解析を行い、物理実現に絡んだモデル間の変換方式の理論的解析にも取り組んだ。 (2) 量子グラフ理論の確立【今井・山下・Le Gall】:測定ベース量子計算モデルに関して、グラフマイナー理論との関係性を解明し、特に点マイナーによる階数幅による量子計算能力を解明することができつつある。これは、自然が有する離散的規則性を反映しているともいえ、さらにイジング分配関数の古典計算の理論へと展開を図ることができている。任意のグラフでの測定ベース量子計算による回路実現可能性についても成果を得た。 (3) 多証明者量子対話証明による計算量【今井・松本・Le Gall・河村】:QMA(2)に関する研究を継続するとともに、量子対話ゲームを通した非局所性解析においても進展をもたらすことができており、これらについて引き続き成果発表に取り組む。 (4) 計算解析・研究情報データベース構築推進【今井・山下】:回路設計・解析において実績がある研究分担者の山下とともに、GPGPU付大メモリのコンピュータを導入し、トポロジカル量子計算に関する新規研究をはじめ、量子回路変換、量子シミュレーション等の計算解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究メンバーそれぞれが担当分野において成果をあげた上で、連携体制によって期待を上回る発展的な研究成果も得られており、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を締めくくるにあたり、当初計画に沿って研究を進めつつ、進展状況を鑑みてより高度な成果に結びつけられる可能性が高いと判断した場合には計画を拡張するなど柔軟な姿勢で最終目標への到達を目指す。研究メンバ同士の連携も円滑に進んでおり、協力体制による成果を着実にあげてきている。この体制を今後も継続、発展させながら、研究を総括していく。
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Research Products
(36 results)