2011 Fiscal Year Annual Research Report
地震活動異常を診断する統計的時空間モデルと確率利得を上げる実効的予測の戦略的研究
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23240039
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
尾形 良彦 統計数理研究所, 名誉教授 (70000213)
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Keywords | 東北地方太平洋沖地震 / 時空間ETASモデル / ベイズ的非定常ETASモデル / スプライン型時空間BPTモデル / 前震の確率予測 / 確率予測の評価方式 |
Research Abstract |
(1)東北地方太平洋沖の超巨大地震が発生したため、ETASモデルによる余震活動の継続的なモニタリング解析、日本各地の誘発地震活動の解析を最優先で行い、これに時間を割いて解析結果はそのつど地震予知連などで報告した。また時間ETASモデルや時空間ETASモデルによる前震活動の本震後の静穏化や長期地震活動の日本列島に渡る、且つ10年間に渡る大規模の静穏化を検出した。 (2)東北地方太平洋沖地震で誘発された群発地震の多くがETASモデルでの当てはまりが悪く、その当てはまりの悪さの時間変化を見るベイズ的平滑化を実施できる方式を提案した。また、活動度の外性的影響の量的な変化を見ることができるベイズ的非定常ETASモデルを開発した。 (3)応力場の変動を伴う「繰り返し」地震の発生過程を表現するスプライン型時空間BPTモデルを提案し,「繰り返し」微小地震データを用いて,応力場の変化の推定を行った。提案モデルは,GPS観測が遠く及ばない沖合の海底下におけるプレートの境界での,応力場の変動を推定できる有力な統計的手法を与えた。 (4)当グループが13年前に提案した日本における前震の事前認識の確率予測の方式によって、その後13年間の業務的予報を実施した結果を評価したところ、良好な確率予報になっていることが実証された。これによって今後のリアルタイム予測の展望が開けた。 (5)地震予測可能性に関する国際的な連携プロジェクト(CSBP)で採用されている予測の評価方式の問題点を、東北地方太平洋沖地震前後の確率予測と実際の結果に鑑み、指摘し、改善提案を論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東北地方太平洋沖の超巨大地震が発生したため、当初計画していた2011年度実施目標は後回しになって、やや遅れているが、最優先的に行った東北地方太平洋沖地震関連の解析によって明らかになった問題点に対応したモデルの拡張や改善が進み、この点では想定以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
時空間ETASモデルなどのベイズ的地震活動モデルのソフトウェア出版と時空間モデルの残差診断の可視化グラフィック解析については一刻も早く達成したい。 追加的な課題として、国際プロジェクトCSEPに呼応して、全地球、環太平洋の地震活動の予測モデルを完成する。また、国内外の地震活動の解析研究者の為のクラウド型解析サービスの環境を整備することも喫緊の課題である.
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Research Products
(103 results)