2012 Fiscal Year Annual Research Report
地震活動異常を診断する統計的時空間モデルと確率利得を上げる実効的予測の戦略的研究
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23240039
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
尾形 良彦 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (70000213)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 時空間ETASモデル / 時空間BPTモデル / 前震の確率予測 / 余震の直後確率予測 / 非定常ETASモデル |
Research Abstract |
地震活動の地域的特性に対応できる時空間ETASベイズモデルのソフトウェア公開に向けて改善を進めた。大量のデータを有効に使った長期かつ広域な標準地震活動による大地震の予測確率は東北沖地震後有意に増えた。 前震および本震直後余震の確率予測の業務をリアルタイムで実施できるようにする点で大きな前進を見た。前者は大地震発生前の確率予測の実効率(確率利得)を上げることに一定の貢献、後者は被災地における緊急情報として重要な役割を果たすことが期待される。 プレート境界での「繰り返し地震」を解析する時空間ベイズモデルの高度化によって、太平洋プレート境界でのストレスの時空間変化を検出の実用化に目途がついた。すなわちBrownian Passage Time(BPT)ベイズモデルを時空間非定常モデルに拡張してプレート境界での小繰り返し地震データに適用し,応力場の変動やプレート間カップリングの可視化に使えるようになった。GPS観測網から離れた沖合の海洋底下におけるモニタリングに大変有用である。小繰り返し地震の近傍の大地震による地震時の急激な応力変化と,その前後のゆっくり滑りを分離するという課題があるが、来年度でこれを達成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで開発してきた時空間ETASモデルなどのベイズ型地震活動解析のソフトウェアを公開すること、前震の予測や本震直後の余震予測のリアルタイム業務的な確率予報を実施できるようにすること、地震活動異常の解析結果報告など、当初研究目的について重要な案件についてはことごとく目途が付き、今年度(最終年度)で達成ができる。 東北地方太平洋沖の2011年巨大地震に伴う周辺部の地震活動異常活動や群発地震の解析等についてはデータ提供先(気象庁)の都合により、地震活動モデル作成に必要な資料の入手困難となり若干の遅れを生じた。しかし解析手法である非定常ETASモデルは順調に作成が進み、ソフトウェアとして公開ができる。 「繰り返し相似地震」を解析する時空間ベイズモデルの開発と、これによるカルフォニアと北日本太平洋沖における小繰り返し地震データに適用した結果の有用性は当初の目標に無かった想定外の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究課題の研究成果の学術誌掲載やプログラムパッケージによって公開する努力をする。さらに初期の目的達成の高度化や次の展開を狙う。公開の地震活動ソフトウェアを国際的に宣伝し、使用に供するようにソフトウェアのマニュアル(英語)を完成させる。 東北地方太平洋沖の巨大地震に伴う周辺部の地震活動異常活動を解析等については一時的な遅れを取り戻しつつある。
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Research Products
(93 results)