2011 Fiscal Year Annual Research Report
モデルマウスを用いたミトコンドリアセントラルドグマの破綻病理の解明
Project/Area Number |
23240058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中田 和人 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80323244)
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / 突然変異 / エネルギー代謝不全 / 病態発症機構 / モデルマウス |
Research Abstract |
ミトコンドリアゲノム(mtDNA)の突然変異が、ミトコンドリア病のみならず、糖尿病や神経変性疾患、さらにはがんや老化など、多様な疾患の遺伝的原因になる可能性が示唆され、変異型mtDNA分子種を起点とした多様な病態発症機構の存在が注目されている。本研究では、変異型mtDNAを導入したマウス(ミトマウス)群に加え、新たなミトマウスを随時作製して、多様な変異型mtDNA分子種を起点としたミトコンドリアセントラルドグマの機能基盤、さらには、核セントラルドグマとの連携、そしてそれらの破綻による病理機構の全貌解明を目指している。 今年度は1)変異種とミトコンドリア呼吸機能不全誘導における細胞種感受性や臓器特異性の関係、2)変異種と細胞死誘導の関係、3)変異種とそれらの病原性によって変化する生体エネルギーネットワークの代謝適応(糖感受性の増強、解糖系の増強、脂質代謝の増強など)の関係に焦点をしぼって解析を行った。その結果、1)欠失型mtDNAがマウスの胚発生-出生-成長において細胞種特異的にその病原性を変化させること、2)これにより、ミトコンドリア病の病型が遷移することを示唆する所見を得た。さらに、3)欠失型mtDNAの病原性発揮に際してはマウスの核背景や代謝適応能力が重要であることが分かった。この結果はmtDNA関連疾患の病態理解はもとより、治療法の開発にとって有効な基礎戦略を提案するものである。モデルマウスの作製に関しては、4)変異型mtDNAを導入したES細胞の樹立に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存もモデルマウスを活用した詳細な病態発症機構の解明に関する解析は当初の計画以上に進展していると感じている。しかし、新奇モデルマウスの作製に関しては、ES細胞は確保できているものの、マウス樹立までには至っていない。そこで、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
病態発症機構の解明に関しては、核背景のことなるマウスへの変異型mtDNAの導入や、ミトコンドリア関連核遺伝子改変マウスとの掛け合わせによって、より、実験的に/詳細に解析を進める予定である。新奇モデルマウスの作製に関しては、ES細胞のインジェクションを重ね、変異型mtDNAを含有するキメラマウス確保-モデルマウスの樹立へとつなげたい。
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