2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子の高次構造と機能制御のための高分子材料設計
Project/Area Number |
23240074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸山 厚 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40190566)
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Keywords | DNA / ペプチド / くし型共重合体 / フォールディング / バイオナノテクノロジー |
Research Abstract |
生体高分子の機能発現には、その高次構造形成が重要な役割を果たす。さらに、高次構造の転移がシグナル伝達、物質輸送など高度な生体分子機能の基幹となっている。従って、高次構造の形成と構造間の転移を制御する方法論が、生体高分子の効果的な利用に不可欠になる。本研究課題では、カチオン性くし型共重合体と核酸との完全可溶性高分子電解質複合体で見いだされた核酸シャペロン活性発現機序を追求するとともに、その知見をタンパク質・ペプチドの構造形成と機能制御に活用すべく、基礎的知見の集積とその発展を計る。本年度は以下の検討を行った。 1)合成化学的アプローチによる構造・機能相関 カチオン性くし型共重合体に見いだされた核酸シャペロン活性の発現機構を考察するために、異なる官能基を有する種々の共重合体を合成した。すでに申請者がカチオン牲くし型共重合体に蓄積してきた知見を基に、核酸とのイオン性相互作用に加え、水素結合性相互作用およびカオトロピック性を考慮し、ウレイド基を有する高分子材料の合成を行った。また、アミノ基をメチル化した4級アンモニウム型高分子も合成した。 2)一分子観察による共重合体・核酸複合体の解析 本項目では、核酸と共重合体を二重ラベルした液中一分子計測およびフローストレッチング法を取り入れた一分子観察法により、共重合体が核酸構造に与える効果を高い時空間分解能で解析した。具体的には、λファージDNAなどの長鎖核酸の片末端にビオチン修飾し、表面をポリエチレングリコールにより不活性化したカバーガラス表面に固定した。このカバーガラス上にフローセルを構築し、バッファーを流すことで、核酸鎖を伸張させる。さらに、バッファーを種々の共重合体を含むバッファーに交換し、核酸の構造変化をリアルタイム共焦点顕微鏡で観察することで、共重合体との相互作用を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな高分子材料の設計は当初の予定通り進んでいる。一部、その成果の論文投稿も行った。 一分子観察より、共重合体の親水鎖導入率が核酸との複合体構造に大きな影響を与えることが、高感度に検出された。特に、濃度依存性に新たな知見を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
新規に合成された高分子材料に関して、その核酸シャペロン活性を今後検討する。特に、官能基導入率が、鎖交換活性に与える影響を指標にシャペロン活性を評価するが、これらの官能基の導入により2重鎖核酸や単鎖核酸との結合親和性に与える影響も検討する。 一分子計測法では、高グラフト率のくし型共重合体はDNAの凝縮を抑制することが分かった。一般のカチオン性高分子には見られない挙動で有り、その機構およびシャペロン活性との連関を検討する予定である。
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Research Products
(12 results)