2013 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子の高次構造と機能制御のための高分子材料設計
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23240074
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 厚 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (40190566)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カチオン性くし型共重合体 / 脂質膜 / 両親媒性ペプチド / コイル-ヘリックス転移 / リポソーム |
Research Abstract |
インフルエンザウイルス表面に存在するヘマグルチ ニンの N 末端部分を模倣した E5 ペプチド(GLFEAIAEFIEGGWEGLIEG) は酸性条件下でグルタミン酸残基 がプロトン化することにより分子内の静電反発が減少し、ラ ンダムコイルからα-ヘリックスへ構造転移する。その結果、 両親媒性となり、膜破壊能を発現する。E5 は細胞内デリバリ ーの材料としての応用が期待されているが、その活性の低さ や溶解性が低いことによる取扱いの難し さを解決することが課題である。カチオン性の 主鎖に、親水性の側鎖を有するカチオン性 くし型共重合体 Poly(L-lysine)-graft-Dextran (PLL-g-Dex) が DNA と複合体を形成し、DNA 間の静 電反発を遮蔽することで、二重鎖を安定化す ることを見出している。そこで、カチオン性 くし型共重合体のカチオン性の主鎖が E5 分子 内の静電反発を抑制することによりa-へリッ クスの形成を誘起し、親水性の側鎖が E5 ペプ チドの疎水性を緩和し溶解性を保持する性質 を持つのではないかと推測した。カ チオン性くし型共重合体 Polyallylamine-graft-Dextran (PAA-g-Dex) は E5 のランダム→ヘリックス転移を中性条件下で誘起する事が円二色性測定により明らかになった。さらに、共重合体は、ヘリックス転移後のE5ペプチドの溶存性を維持することが見出された。共重合体とE5との複合体の生体膜破壊活性をリポソーム膜を利用して検討した結果、複合体が高い膜破壊活性を有することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、細胞膜破壊性ペプチドの機能を、人工材料によって高める手法を見出した。活性の向上は当初の想定を上回る結果であった。これまで核酸の構造・機能制御で得られた知見が、ペプチド等にも展開できることが明らかになり、知見の波及が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチド・高分子複合体による生体膜構造制御に関しては、以下の研究課題を推進する。 1)ペプチド・高分子複合体の構造解析 2)脂質膜とペプチド・高分子複合体との相互作用解析 3)ペプチド・高分子複合体による細胞膜機能制御と細胞内送達機能の評価
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Research Products
(4 results)