2013 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能PETによる抗腫瘍効果診断に基づく腫瘍血流遮断型の革新的粒子線治療技術
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23240077
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺川 貴樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10250854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 慶造 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), リサーチプロフェッサー (00134065)
古本 祥三 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 准教授 (00375198)
菊池 洋平 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50359535)
松山 成男 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70219525)
酒見 泰寛 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (90251602)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粒子線治療 / 腫瘍血流遮断剤 / 超高分解能PET |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍への線量集中性に優れ、高い細胞致死効果を持つ粒子線治療と副作用が少なく腫瘍血流を選択的に遮断する新規腫瘍血流遮断剤(薬剤コード名AVE8062)を機能的に併用した革新的化学粒子線治療技術の開発を目的とする。この治療技術により、粒子線照射で正常組織への影響を最小限に留めつつ腫瘍内の放射線高感受性の有酸素腫瘍細胞領域を局所的に殺傷し、照射後のAVE8062投与により、残存する放射線抵抗性の低酸素腫瘍細胞を壊死に導く。さらに高分解能PET診断に基づいてより効果的な治療技術を開発することを目的としている。研究期間は平成23年度より4年間である。 平成25年度は、NFSマウス線維肉腫細胞を移植したマウスを用いた治療実験を実施した。まず、比較対照条件として、陽子線照射法は腫瘍標的に一様な線量を付与する従来照射法とAVE8062を併用する方法で治療実験を行った。なお、各治療群のマウス数は5とした。治療後の腫瘍体積の経日変化から各治療条件における腫瘍の増殖遅延効果を治療効果として評価した。その結果、陽子線照射と腫瘍血管遮断剤の併用条件では相加的な治療効果が確認された。さらに、治療効果判定に、1 mm以下の高空間分解能を達成している小動物用半導体PET装置を用いて、糖代謝トレーサーの[18F]Fluoro-Deoxy-Glucoseをマウスに投与し、腫瘍内の糖代謝分布を分析した。その結果、併用治療条件では、腫瘍中心部の壊死とともに陽子線照射により腫瘍辺縁部の残存細胞の糖代謝が低下していることを示すPET画像が得られ、単独治療に比べてより治療効果の高い結果が示された。 また、高精度な粒子線照射を実現するために、粒子線モニター装置であるマイクロパターンガス検出器について、従来の液晶ポリマー製GEM電極からガラス製GEM電極に置き換えることでガス増幅度の向上を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較対照の治療実験である一様陽子線照射と腫瘍血管遮断剤による担がんマウスによる治療実験の実施、腫瘍増殖遅延評価法および高分解能PETスキャンによる治療効果の分析、さらには、新規開発の粒子線モニターであるマイクロパターンガス検出器の性能向上など、当初の研究計画が予定通り達成されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である平成26年度では、本研究で提案する腫瘍辺縁部への陽子線局所照射技術と腫瘍血管遮断剤の併用治療実験を実施する。治療効果の評価手法は、前年度と同様に腫瘍体積の経日変化から腫瘍の増殖遅延効果、さらに、1 mm以下の高空間分解能を達成している小動物用半導体PET装置を用いる。PET診断では、糖代謝トレーサーの[18F]Fluoro-Deoxy-Glucoseをマウスに投与し、腫瘍組織内の高分解能糖代謝分布のPET画像を得る他に、腫瘍組織内の低酸素状態の組織を、低酸素細胞イメージング剤([18F]ミソニダゾール)によるPETスキャンで可視化し、本治療法における低酸素細胞殺傷効果の詳細な情報を得て、治療効果および問題点を総合的に評価する。これらの研究結果を総括し、国内外の学会や学術論文誌等に研究成果を公表する。
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Research Products
(6 results)