2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23240078
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
本郷 一博 信州大学, 医学部, 教授 (00135154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊関 洋 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90119892)
岡本 淳 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10409683)
後藤 哲哉 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (30362130)
堀内 哲吉 信州大学, 医学部, 准教授 (40303466)
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Keywords | 医療ロボット / 脳神経外科 |
Research Abstract |
まず研究計画全体に要求されるロボットの基本的な性能項目を検討した。ロボットの使用は顕微鏡下脳神経外科手術医を想定し共同研究者とロボットに要求されるべき性能について協議を重ね、不明確であった項目を明確化した。マニピュレータ先端に接続される手術器具として、脳へら、鈎付きへら、銀へらなどの先端に可動部分を持たない術具だけで無く、実際の手術において頻用される鑷子が使用できることを条件とした。 上記要求項目を踏まえて、装置の基本的設計を行った。臨床使用時の環境を想定して、装置に要求される剛性と、既存の手術の妨げずにロボットに占有が許容される術野上の空間的制限の双方を整合して、その範囲で最大限の動作環境が得られるよう、マニピュレータの動作範囲とサイズ、自由度構成を検討した。既存の手術器具と比較検討して新規技術導入の必要性と優位性を検証し、既存の素材、市販要素部品や加工方法に関する知見からのフィードバックを行いながらマニピュレータの全体的デザインを策定して推敲を重ね、設計を最適化した。マニピュレータ先端へ搭載する手術器具については、接続機構を検討し、市販品の流用あるいは改造の適否、若しくは専用品の新規設計製作の要否を考察した。 基本的設計を基に、装置の具体的な設計を行った。詳細な設計は日立情報通信エンジニアリング株式会社に発注した。上記基本的設計に基づき、具体的設計の各過程で同社の担当チームと基本設計者との間で協議を重ねながら全体及び細部の設計を評価検討して推敲を重ね、具体的な設計の進捗に伴って発生した問題点をその都度討議して設計の改変を行い、設計の最適化に努めた。設計にあたっては可及的に既存の市販部品や加工方法との整合を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず研究計画全体に要求されるロボットの基本的な性能項目を検討して整理したが、討議を重ね要求される機能概要が具体化するにつれて、研究開始当初に想定していた 要求項目を達成するための具体的方策の検討に更なる考察と討議を重ねることが不可避な情勢となった。本研究で開発され評価されるロボットの根本的な性能を左右し課題成果に大きく影響する過程であるため、研究計画を当初予定から変更せざるを得なかった。この結果、研究計画に対し遅延を生じることが判明した。機能概要の策定と仕様の検討、さらには検討結果を踏まえての機能概要の再検討には、可及的迅速な研究遂行に最大限留意しつつも必要な期間を再設定し、変更後の予定に従って仕様を策定して、具体的な試作設計に入った。 試作設計の各過程および結果、研究計画当初に予定していた様な既存技術の活用方法では、一部構成部品に所望の性能を満たせない可能性があることが判明した。そこで再度設計の検討に立ち返り検討と見直しの討議を重ねた結果、装置先端に搭載させる組織把持器具の選定と接続機構に新たな発想と工夫が生まれ、当初計画を超えて効率的な装置の開発が可能な見通しとなった。しかしその一方で、再検討の結果既存技術の活用のみでは性能不十分と新たに判定された一部構成部品については、特注品の製造や、既存品の改造にかかる追加工作等が必要となった。このため、試作装置製作にあたっては、構成部品の集約に再度の遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、可及的早期の構成部品集約に努める。部品集約と一部並行して試作ロボットの製作を進めることにより、設計および部品集約において生じた研究計画遅延を最小化する。装置本体は計画通り日立情報通信エンジニアリング株式会社に依頼して製造するが、研究過程で必要となった組織把持器具の一部追加加工については、該当する加工技術を有する他の医療器具製造メーカーに依頼し、より効率的な研究遂行を期する。 今後も装置の製作にあたっては、今後も想定外の課題に直面した際には必要に応じて設計の見直しを行いつつ、製作された試作機に対して完成後の評価によって再度改良を必要とする可能性を可及的に減じることによって、最終的に当初計画通りの期日でより高い完成度の成果の得られるよう研究を推進する。 今次の試作機が製作されれば、その性能を逐次検証して評価し、なお必要な改良点を洗い出して考察し、最終的により有効な装置となるよう開発を重ねる。試作機が所期の性能と有効性を有していると評価されるに至れば、これを術者によって直接操作される受動的マスタ装置として流用し、これと共通の設計に能動的関節駆動機構を追加装備したスレーブ装置を別途制作する。受動的装置と能動的装置を接続して使用し、マスタ・スレーブ装置として十分な性能を持って顕微鏡下脳神経外科手術に臨床使用可能な組織把持ロボットを開発して評価する。これまでに生じている研究計画の遅延を最小化するため、研究遂行に有益な技術を持つ関連業種企業に適宜協力を依頼する。
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Research Products
(1 results)