2012 Fiscal Year Annual Research Report
運動・ストレス・老化に関する新規バイオマーカーの開発
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23240097
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 克彦 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80344597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋本 崇之 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00323460)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プロテオーム解析 / 酵素免疫測定法 / ウェスタンブロット / マイクロアレイ / マイクロRNA / 運動 / ストレス / バイオマーカー |
Research Abstract |
運動ストレスに応答する新規バイオマーカーを検索するため、前年度に収集した激運動前後の血液・尿サンプルについてプロテオーム解析を行い、二次元電気泳動(2D-DIGE)を実施した後、運動前後で変動したスポットに関して質量分析装置で同定を行った。そのうち、尿で顕著な上昇を示したタンパク分子について、現在、異なるメーカーが市販している酵素免疫測定法(ELISA)キットを用いて定量し、統計的検定を行ったがいずれも有意差が認められなかった。これは同定されたフラグメントにELISAキットの抗体のエピトープが存在していなかったものと考えられたため、現在、ウェスタンブロット法により当該フラグメントと反応する抗体を選定しており、その結果で新規のELISAを構築できる可能性がある。なお、キーとなるバイオマーカーについては、血中と尿中で比較検討を行い、新規バイオマーカーと比較できるようにデータベースを作成した。 また、血中に存在するマイクロRNAに着目し、マイクロアレイを用いた網羅的解析により一過性レジスタンス運動に応答する複数の血中マイクロRNAを同定した。それらのマイクロRNAについて、リアルタイムPCRを用いて発現を定量した。このうちいくつかのマイクロRNAは、一過性運動によって変動を示した。また、いくつかのマイクロRNAについては血中カテコールアミン、ミオグロビン等と相関関係が認められた。これらのことから、血中マイクロRNAの変動は一過性運動によって変動するいくつかの血中指標と関連している可能性が示唆された。さらに、運動による血中マイクロRNAの変動メカニズムを検討するため、動物実験を開始した。 老化のバイオマーカーについては、好中球活性化マーカーをフローサイトメーターで測定できるようにし、高齢者を対象とした運動介入研究での評価に応用したところ、炎症が軽減する効果を認めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロテオーム解析については、運動2時間後までのデータ解析では劇的な変動を示す分子があまり認められなかったため、運動4時間後、12時間後の尿サンプルを追加検討して再検索により新規バイオマーカーの候補分子のリストアップを進めている。また、今年度同定されたフラグメントについては、まったく新規のELISA測定系を構築できる可能性が出てきたが、抗体も新規に作製することになると費用も時間もかかる可能性があるため、上記の再検索の結果との兼ね合いで、今後の方針を決める。
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Strategy for Future Research Activity |
運動・ストレスの新規バイオマーカーの候補分子のリストアップ・再検索により、ターゲットの分子を決め、ELISAやPCR等の既存の測定系で評価できるようにする。また、運動による血中マイクロRNAの変動メカニズムを検討するとともに、老化と関連する血中マイクロRNAについても検討を行っていく。新規バイオマーカーについては、可能な実験で既存のバイオマーカーとの比較や妥当性の検証を進める。
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