2012 Fiscal Year Annual Research Report
大規模エピゲノム解析に基づく革新的消化器癌診断法の開発
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23240129
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 浩三 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (60117603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20381254)
谷口 博昭 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (90563289)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 癌 / ゲノム / トランスレーショナルリサーチ / マイクロアレイ / 臨床 |
Research Abstract |
申請者らが蓄積した癌エピゲノム解析の基盤と、効率的なシークエンサー運用を組み合わせ、革新的エピゲノム診断法の開発、アレイ解析でカバーできず機能不明であった領域に解析を広げる。この結果、本研究は癌エピゲノムのシステマティックな理解に繋がり、我が国発の癌診断技術開発の基盤となる。昨年度までに、消化器癌における高解像度DNAメチローム解析を計画通り終えた。臨床検体(大腸癌、胃癌、肝癌)を解析対象とし、MCAマイクロアレイ、遺伝子発現アレイ、癌抑制遺伝子のメチル化解析を基盤とし、高解像度メチル化解析の対象領域として癌特異的メチル化を示すCpGアイランド5000箇所を解析対象に選定、SOLiD4シークエンサーを使用し、正常大腸、大腸腺腫、大腸癌の高解像度メチローム解析結果を得た。これらの結果と臨床検体のDNAメチル化・ヒストン修飾・トランスクリプトームの統合的な解析を進めた。また、メチル化がゲノム機能に与える影響を明らかにするため、ChIP-seqによるヒストン修飾解析を行い、H3K4、H3K36、H3K9、H3K27メチル化の解析を終えた。現在、既知の遺伝子プロモーター領域外のメチル化が転写活性化あるいは抑制に与える影響を検討している。同時に、ChIP解析と同一検体からRNAを抽出し、遺伝子発現マイクロアレイ解析およびsmall RNA seq解析を実施し十分なデータを蓄積した。これらの結果を統合し、バイオインフォマティクス解析を施行すると同時に、RNA-seqの結果を比較し癌幹細胞マーカーとなりうるRNA分子の候補を見出した。また、大腸洗浄液から癌抑制遺伝子のメチル化を検出することで、大腸癌の浸潤が診断可能なことを示したが、効率的な診断法の樹立を目的に、便・消化管洗浄液由来の微量DNAから、500個程度の癌関連遺伝子メチル化を検出するミニTeBSシステムの構築に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では申請者がこれまで明らかにしてきた知見を更に発展させ、 (1)癌の超早期診断および転移浸潤予測、(2)診断確定後の個性診断および治療効果予測、に資する新規エピジェネティクス診断技術を開発しようとすることを目的としている。以下に示すように、すでにその基盤は構築されつつある状況である。平成23年度の目標である消化器癌における高解像度DNAメチローム解析、診断マーカー遺伝子の探索を昨年度までに計画通り実施済であり、H24年度以降の目標である、癌エピゲノムの統合的な機能解析の内、①DNAおよびヒストン修飾解析、②トランスクリプトーム解析、③ChIP解析と同一検体を用いての遺伝子発現マイクロアレイ解析およびsmall RNA seq解析はすでに昨年度に施行しており、さらに、多くの臨床検体での検証にすでに着手している。現在、RNA-seqの結果を比較し癌幹細胞マーカーとなるRNA分子の候補の絞り込み、既知の遺伝子プロモーター領域外のメチル化が転写活性化あるいは抑制に与える影響を検討している。これらの結果を統合し、バイオインフォマティクス解析を開始している。また、便・消化管洗浄液由来の微量DNAから、500個程度の癌関連遺伝子メチル化を検出するミニTeBSシステムの構築に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに確立した癌エピゲノムの統合的な機能解析を、多くの臨床検体での検証を進める。RNA-seqの結果を比較し癌幹細胞マーカーとなるRNA分子の候補を絞り込み、癌幹細胞マーカー候補のRNAが同定された場合、細胞株を用いて機能解析を行う。また、バイオインフォマティクス解析を進めているが、得られた結果により既知の遺伝子プロモーター領域外のメチル化が転写活性化あるいは抑制に与える影響を検討する。また、便・消化管洗浄液由来の微量DNAから、500個程度の癌関連遺伝子メチル化を検出するミニTeBSシステムの構築に着手している。最終的に、DNAメチル化による抗癌剤感受性の情報を加えて個別化診断することで、有効な治療法を選択出来るアルゴリズムの開発を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Association between genomic alterations and metastatic behavior of colorectal cancer identified by array-based comparative genomic hybridization.2013
Author(s)
Sawada T, Yamamoto E, Suzuki H, Nojima M, Maruyama R, Shioi Y, Akasaka R, Kamimae S, Harada T, Ashida M, Kai M, Adachi Y, Yamamoto H, Imai K, Toyota M, Itoh F, Sugai T.
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Journal Title
Genes Chromosomes Cancer
Volume: 52(2)
Pages: 140-9
DOI
Peer Reviewed
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