2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子間の弱い相互作用を利用したがんシグナル経路のモジュレーター創製
Project/Area Number |
23240135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
芝 清隆 公益財団法人がん研究会, がん研究所・蛋白創製研究部, 部長 (40196415)
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Keywords | 人工タンパク質 / モチーフ / コンビナトリアル / 抗原 |
Research Abstract |
臨床への展開の可能性と潜在性の高い「がん免疫」分野に利用できる人工タンパク質の創製に焦点をあてている。現在、概念証明実験として、「がんマーカー」の代わりに、免疫分野でのエピトープのスタンダードである「オボアルブミン」を用いているが、これは「オボアルブミン」エピトープを用いた免疫ツールがよく揃っている理由からで、概念証明実験の後には、「オボアルブミン」を「がんマーカー」に置き換えて、トランスレーションを意識した人工タンパク質創製に進む。 すでに、マイクロ遺伝子にマウスのMHCクラス1分子、H-2Kbタイプに結合することが明らかとなっている、オボアルブミン257-264に相当するエピトープと、MHCクラスII分子に結合することが明らかとなっているエピトープ、さらにαヘリックスなどの二次構造を形成する構造モチーフを埋め込んだマイクロ遺伝子を導入し、それらを重合し人工タンパク質ライブラリーを作製した。予備的実験から、発現量の高いクローン十数個を選び、それらを大腸菌を用いて、大量発現し、N末につけたタッグを用いて、親和性精製をおこなった。精製したタンパク質の物理化学的性質を調べるために、円二色性偏光測定、動的光散乱測定、走査型電子顕微鏡観察をおこなった。精製したタンパク質は、その会合状態や二次構造含有率において、いろいろな性質をもつことが判明し、ライブラリーとして多様性度の高いものが得られたことがわかる。予備的な実験から、強い細胞性免疫誘導能をもつクローンが複数同定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工タンパク質の作成実験では、期待する活性が得られない場合に、再度マイクロ遺伝子のデザインから始めなければならないが、今回は、最初のデザインで期待した活性を持つクローンが得られており、順調な滑り出しである。
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Strategy for Future Research Activity |
組換え体を用いた免疫実験で最も問題となるのが、エンドトキシンのコンタミネーションである。ごく微量のエンドトキシンのコンタミネーションでも、強い炎症反応を誘起するので、エンドトキシンフリーの試料を調製する環境を整えなければならない。イオン交換樹脂、親和性カラム、Triton-114などの方法を組合せ、さらにエンドトキシンフリーのプラスチック消耗品を用いることで、試料中のエンドトキシン量を「0.5単位以下」に下げることを今年度の第一目標とする。次に、エンドトキシンフリーの条件で、細胞性免疫誘導評価の確定を進める。
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