2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子間の弱い相互作用を利用したがんシグナル経路のモジュレーター創製
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23240135
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
芝 清隆 公益財団法人がん研究会, がん研究所 蛋白創製研究部, 部長 (40196415)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 人工タンパク質 / モチーフ / プログラム |
Research Abstract |
ペプチド性「モチーフ」をブロック素子として用い、その組み合わせから人工タンパク質を創製するシステムを利用し、弱い相互作用が織りなす強靱な生物システムをモジュレートできる人工物を創製する。特に、がん細胞特異的な増殖抑制活性をもった人工タンパク質の創製をめざし、新しいタイプのがん標的医薬につなげていく。 概念証明実験として、免疫分野でのエピトープのスタンダードである「オボアルブミン」を用い、マイクロ遺伝子にマウスのMHCクラスI分子、H-2Kbタイプに結合することが明らかとなっている、オボアルブミン257-264に相当するエピトープと、MHCクラスII分子に結合することが明らかとなっているエピトープ、さらにαヘリックスなどの二次構造を形成する構造モチーフを埋め込んだマイクロ遺伝子を導入し、それらを重合し人工タンパク質ライブラリーを作製した。発現量の高いクローン十数個を選び、それらを大腸菌を用いて、大量発現し、その中から、強い細胞性免疫誘導能をもつクローンを同定した。組換え体を用いた免疫実験で最も問題となるのが、エンドトキシンのコンタミネーションである。ごく微量のエンドトキシンのコンタミネーションでも、強い炎症反応を誘起するので、エンドトキシンフリーの試料を調製する環境を整えなければならない。イオン交換樹脂、親和性カラム、Triton-114などの方法を組合せ、さらにエンドトキシンフリーのプラスチック消耗品を用いることで、試料中のエンドトキシン量を「0.5単位以下」に下げることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫実験で問題となるエンドトキシンが、当初予期していたより、アッセイ系に大きな干渉をもたらす難問にぶつかったが、真正面からエンドトキシンを除去する手順を独自開発することに取り組み、この問題を解決することができた。他の実験が予定以上に順調に進んでいたこともあり、全体としてはほぼ計画通りの進展で、「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
観察される人工タンパク質による免疫誘導反応の促進が、どのような機構でおこっているのかを解析するために、in vitro, in vivoレベルでの解析を進める。また、複数存在するモチーフの、どのモチーフが当該現象に関わっているかを調べるために、各モチーフの変異をもつ人工タンパク質シリーズを作製し、その影響を調べる。さらに、システムの汎用性を図り、がん関連モチーフを埋め込んだ人工タンパク質を作製し、その免疫誘導能力を評価する。
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