2011 Fiscal Year Annual Research Report
越境汚染大気中の有機過硝酸エステル類の測定とその光化学反応性への寄与率評価
Project/Area Number |
23241008
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
坂東 博 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (80124353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定永 靖宗 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (70391109)
板野 泰之 大阪市立環境科学研究所, 調査研究科, 研究主任 (50332432)
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Keywords | 有機(過)硝酸エステル / 東アジア / 光化学オキシダイト / 長距離輸送 |
Research Abstract |
平成23年度ではまず、熱分解-キャビティ減衰位相シフト分光法(TD-CAPS法)を用いたTONs自動連続測定システムの構築を行った。TONsの構成成分である有機過硝酸エステル類(PANs)や有機硝酸エステル類(ANs)は加熱することにより熱分解し、NO_2を放出する。この性質を利用して、TONsを熱分解してNO_2に変換し、その後キャビティ減衰位相シフト分光法NO_2モニターでNO_2濃度を測定することによりTONsの濃度を観測する。また、温度の異なったラインを設けることにより、PANsとANsを分けて定量するシステムを構築する。PANsとしてはPAN,PPNを、ANsとしては、硝酸メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、ペンチルについて、熱分解効率およびその温度依存性について調べた。その結果、PANsについては150℃,ANsについては360℃で定量的に熱分解し、NO_2に変換されることが明らかとなった。この結果より、常温、150℃、360℃と温度の異なるライン(それぞれNO_2,PANs,ANsラインとする)を設けることにより、NO_2,PANs,ANsの濃度を個々に定量することが可能であると考えられる。一方、硝酸ガスについても熱分解効率を測定したところ、NO_2,PANsラインでは分解効率は0%であったが、ANsラインでは有意に熱分解し、NO_2を放出することも明らかとなった。この結果をふまえて、ANsラインの前段にNaClを塗布した環状デニューダーを用いた硝酸ガスを除去するシステムを構築した。なお、ANsラインについては使用しているうちに劣化し、分解効率が低下する傾向が見られた。(坂東・定永) 低温濃縮-GC/NICI-MS法によるPANsの多成分同時分析手法を検討し,従来測定されている5種類のPANs(PAN,PPN,PiBN,PnBN,APAN,MPAN)に加え,PANsの可能性が高いと考えられる2つの未同定ピークを検出することができた。また,量子化学計算によりPANのNICI-MSイオン源における挙動を解析し,未同定のPANsのスペクトルを予測する手法を検討した。(板野)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TONsの連続測定システムのコアとなる熱分解流通反応管部についてハード的に完成するとともに、PANsとANsの測り分けのための分解温度について精度の高い基礎データを得たことにより、PANsとANsを測り分ける連続測定技術を概ね完成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
できるだけ早く沖縄辺戸岬での連続観測を開始する。現状ではANsを測定するラインが時間とともに劣化し、分解効率が下がる結果を得ている。そのため、ラインの洗浄法を確立させる。劣化が防げない場合はANsについては越境汚染の代表的な時期である春季(3~5月)に焦点を絞った観測に切り替える。並行して、PANsおよびANsの構成成分別濃度分析のための濃縮捕集条件、試料保存・輸送方法の確立を急ぎ、連続観測との並行測定を集中観測的に実施する。
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