2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23241016
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
加藤 憲二 静岡大学, 理学部, 教授 (70169499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 真貴 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (10273301)
諏訪 裕一 中央大学, 理工学部, 教授 (90154632)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 陸圏・水圏・大気圏影響評価 / 地下水硝酸汚染 |
Research Abstract |
平成24年度は、昨年度に引き続き、富士山麓の地下水汚染の面的な広がりを把握するためのデータの蓄積を行った。また富士山麓の中でも特に茶畑の多い南麓杉田地区(茶畑地区)の溶存酸素濃度が異なるふたつの井戸を対象に、現場に存在する原核生物による脱窒活性における酸化還元電位、基質の影響について検証した。さらに脱窒が酸化還元電位に与える影響について検証した。これらの検証により、環境中に生息する原核生物による地下水硝酸汚染に対する自然浄化機能の可能性に関して基礎的情報を得ることができた。具体的には、以下の成果が得られた。 1.富士山南麓の茶畑地区を中心に採水を行い、硝酸濃度の分布のデータを収集した。測定した地点の中で茶畑地区における茶畑の直下の井戸Bで最大15.5mg-N/Lと硝酸濃度がもっとも高く、そこから50m離れた40年間使用されていない嫌気的な井戸Uでは1.5~2.6 mg-N/Lと低かった。 2.茶畑地区において、茶畑直下の好気的な井戸Bと嫌気的な井戸Uから採水したサンプルについて、有機物濃度、酸素濃度の培養条件を変え、15Nトレーサーを用いた脱窒活性測定を行った。好気的環境の井戸Bに比べ嫌気的環境の井戸Uにおける脱窒活性が高かった。またどちらの井戸においても、有機酸の中で現場に一番高い濃度で存在した酢酸を添加し嫌気的な培養系において最も高い脱窒活性が得られた。 3.酸化還元電位をモニタリングする脱窒活性測定を行った結果、嫌気環境で脱窒が行われると酸化還元電位が下がることを見いだした。 4.亜硝酸還元酵素をコードする機能遺伝子(nirS)を対象に脱窒活性を担う原核生物群集の特定を試みた結果、得られたクローンの近縁種の基質利用性から酢酸を電子供与体として用いることが推定された。 5.硝酸の起源を推定する硝酸の窒素・酸素の安定同位対比については、試料を採取した段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
富士山麓の現場データの取得については、データを集積しつつある。地下水における脱窒活性を推定する培養実験では、酸化還元電位や有機物の質や量が脱窒活性に対して与える影響を明らかにした。また、脱窒が周囲の環境に及ぼす影響についても推定されるデータを得ることができた。さらに、遺伝子解析によりプレイヤーとなる原核生物の推定も可能となった。一部、硝酸の起源を推定する硝酸の窒素・酸素の安定同位対比については、今後の測定となる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの現場データの取得、脱窒活性測定実験により、環境中に生息する原核生物による地下水硝酸汚染に対する自然浄化機能の可能性に関して、基礎的情報を集積しつつある。今後、焦点を絞った培養実験を行い補完的な情報を蓄積し、脱窒ファクトリーの構築にむけた培養実験を行う予定である。また、脱窒活性を担う原核生物の情報については、機能遺伝子による遺伝子解析を行う他、脱窒活性を検出する培養後の群集に対してCatalyzed Reporter Deposition - Fluorescence in situ hybridization (CARD-FISH)を行い、脱窒活性を担うであろう原核生物個体群の動態を明らかにする予定である。
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Research Products
(4 results)