2013 Fiscal Year Annual Research Report
ソルボサーマル反応によるセラミックスの形態制御と透明赤外線遮蔽材料の創製
Project/Area Number |
23241025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 次雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90091694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
殷 しゅう 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40271994)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 赤外線遮蔽材 / タングステンブロンズ / タングステン酸セシウム / ソルボサーマル反応 / 温熱療法 / 癌細胞 / 二酸化バナジウム / ナノ粒子 |
Research Abstract |
これまでの研究で、タングステンブロンズは赤外線を吸収し、熱エネルギーに変換することを見出したことから、癌の温熱療法への応用について検討した。一般に正常細胞は20nm以下のチャンネルを有するが、癌細胞は100 nm程度の大きなチャンネルを有していることから、粒子サイズを20-100 nmに調整すると、粒子を癌細胞のみに選択的に取り込ませることが可能である。そこで、オレイン酸を表面修飾剤として用い、五塩化タングステンと水酸化セシウムをエタノールー酢酸混合水溶液中240℃で反応させ、粒径50nm程度のタングステン酸セシウムナノ粒子を合成した。得られたタングステン酸セシウムナノ粒子を癌細胞に取込ませ、波長980nmのレーザー光を照射すると、タングステン酸セシウムナノ粒子が赤外線を吸収し発熱することで癌細胞を40℃以上に加熱し死滅させることが可能であることを実証した。 また、二酸化バナジウムは90℃附近で絶縁体ー金属相転移を起こし、高温相が熱線遮蔽能を有することから、高温時には太陽光の室内への侵入を防ぎ、寒冷時には太陽光を室内に取込むことのできる環境調和型スマートウィンドウへの応用が期待できる。そこで、ソルボサーマル反応による二酸化バナジウムのナノ粒子の合成と絶縁体ー金属相転移温度の制御について検討した。ソルボサーマル反応により、二酸化バナジウムへタングステンをドープすると相転移温度を50℃程度まで低下させることができたが、二酸化バナジウムの粒成長が激しく、単分散ナノ粒子の合成はできなかった。今後、さらにタングステン等のドープによる相転移温度の30℃程度までの低下および二酸化バナジウムナノ粒子の合成条件について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オレイン酸を表面修飾剤として用い、五塩化タングステンと水酸化セシウムをエタノールー酢酸混合水溶液中240℃で反応させ、粒径50nm程度のタングステン酸セシウムナノ粒子を合成することに成功するとともに、得られたタングステン酸セシウムナノ粒子を癌細胞に取込ませ、波長980nmのレーザー光を照射すると、タングステン酸セシウムナノ粒子が赤外線を吸収し発熱することで癌細胞を40℃以上に加熱し死滅させることが可能であることを実証することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
二酸化バナジウムは90℃附近で絶縁体ー金属相転移を起こし、高温相がタングステンブロンズと同様に熱線遮蔽能を有することから、高温時には太陽光の室内への侵入を防ぎ、寒冷時には太陽光を室内に取込むことのできる環境調和型スマートウィンドウへの応用が期待できる。そこで、ソルボサーマル反応による二酸化バナジウムのナノ粒子の合成と絶縁体ー金属相転移温度の制御について検討し、タングステン等のドープによる相転移温度の30℃程度までの低下および二酸化バナジウムナノ粒子の合成条件について検討する予定である。
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Research Products
(19 results)