2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23241027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川添 良幸 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 名誉教授 (30091672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水関 博志 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00271966)
ベロスルドフ ロディオン 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10396517)
佐原 亮二 独立行政法人物質・材料研究機構, 元素戦略材料センター 構造材料ユニット 組織設計グループ, 主幹研究員 (30323075)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水素貯蔵材料 / 第一原理計算 / シミュレーション研究 / MOF / 有機金属構造体 / 吸着エネルギー / 材料設計 / 材料探索 |
Research Abstract |
本研究の大きな目的は第一原理計算を用いた新規ガス貯蔵材料の貯蔵能解析と探索である。本報告では、ナノスケール構造体を用いた水素貯蔵材料の貯蔵能、放出過程、貯蔵過程の計算結果を中心に述べる。 第一原理計算を用いて、歪みを加えて活性化したグラフェン・モノレイヤーの化学的性質を明らかにした。2軸に引き伸ばされたシートは炭素-炭素結合が1.43%, 5%, 8.5%, 10%と伸ばされた状態を得た。このように、物理的な歪みを加えた環境下のグラフェン表面の化学的反応性は、元の歪みを加えていない状態よりも大きくなった。歪みを大きくするとボラン分子、水素分子との相互作用は大きくなり、これらの分子の束縛エネルギーは十分に水素貯蔵材料として利用できる数値になる。グラフェンシートは基板を持たず、孤立系として存在できるため、両端の距離を固定したシートを実現できる。この方法で引き伸ばし、歪みを加えたグラフェンは、有望な水素貯蔵材料になり得る。同様に歪みを加えることにより、多くの面を出したグラフェンを実現できる。さらに、歪みを加えることにより、グラフェンを含む多くのナノ構造体の化学反応性を制御出来るだけで無く、新しい電気的、光学的応用分野の開拓にも繋がる。 第一原理計算により、清浄なAl(111)表面および遷移金属原子を置いたAl(111)表面での水素分子の解離過程を調べた。この解析から、触媒効果と遷移金属の3d軌道を通した電子授受の関係を明らかにした。さらに、部分酸化させたAl(111)表面での水素分子を含む系における還元過程の有無を調べるために、表面の還元過程での原子の拡散経路をCI-NEB法を用いて解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で開発したTDDFT計算プログラムにより水素貯蔵材料表面での水素分子のスピルオーバー過程を追跡出来るようになり、優れた水素貯蔵能を有する材料探索に活用することが可能になった。今後は多様な水素貯蔵材料に適用し、シミュレーションによる材料探索と評価を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
ガス貯蔵材料として利用する有機金属構造体(MOF) の効率的な設計方法を開発するために、超並列計算機上で並列化を向上させた高精度第一原理計算プログラムを開発する。このプログラムコードを活用して新規ガス貯蔵材料の探索と評価を進める。 水素貯蔵用の高性能なMOF構造を設計する事を目的として、コネクターとリンカーの組み合わせで作られる多様なトポロジーを持つ最適な分子ビルディングブロックの探索を行う。本研究課題で開発したTDDFT計算プログラムおよびvdW力計算プログラムを水素貯蔵材料表面での水素分子の吸着過程に適用する。
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Research Products
(9 results)