2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23241030
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
白井 義人 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (50175395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 治男 九州工業大学, エコタウン実証研究センター, 教授 (50330238)
安藤 義人 九州工業大学, エコタウン実証研究センター, 准教授 (90446013)
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Keywords | 環境材料 / 反応・分離工学 |
Research Abstract |
1.ポリ-L-乳酸(PLLA)とポリカーボネート(PC)とのブレンド物から、PC成分のみを選択分解するために、加熱水蒸気処理を検討した。PLLA/PCブレンドは海島構造に相分離しており、水蒸気処理することにより、相界面の付着が無くなり、滑らかな相界面が電子顕微鏡観察により確認された。さらに、PLLA成分の選択分解による分子量低下を確認した。 2.PLLA単独およびポリオレフィンやポリエステル類とのブレンドの熱分解挙動を一般動力学式を用いて解析した結果、熱分解触媒の有無によって、その熱分解メカニズムが変化することと、そのメカニズムが分解温度によって変化することを、動力学パラメーターから定量的に評価できることを確認した。 3.PLLAの常圧過熱水蒸気分解は、飽和圧力の加圧加熱水蒸気分解に比べて、分解速度が遅いが、加水分解メカニズムは、双方とも自己触媒的ランダム分解反応で進行することを確認した。また、加水分解に伴うラセミ化は進行せず、処理後の乳酸オリゴマーの光学純度にも影響を及ぼさないことが確認された。 4.粗ラクチドの晶析処理によるL,L-ラクチド純度向上について、従来はトルエンによる晶析を行うことで不純物を取り除いていたが、収率が30%前後と低く、効率の改善が必要であった。そこで、前処理として粗ラクチドを水洗いを行うことによって収率59%まで向上した。これにより、水による効率的な微量成分の抽出効果が確認された。 5.ラクチドからのTMG合成は開環反応の抑制が困難であったが、新たな合成ルートとして汎用溶媒であるアセトンを保護試剤に使って合成し、五員環を経たTMGの合成法を開発した。従来の6段階の合成ルートを3段階に改善することに成功した。また、TMGの精製法を検討した結果、PTMGの高分子量体を得ることに成功した。得られたPTMGはTG/DTAを使って熱分解反応によるケミカルリサイクルを検討した結果、PTMGの分子量が大きく違っても得られる熱分解生成物の割合に大きな変化は現れないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的とした(1)ポリ乳酸/ボリカーボネートブレンドからのポリ乳酸成分の選択分解、(2)一般分解動力学解析理論による熱分解反応機構の解明、(3)常圧過熱水蒸気によるポリ乳酸の分解動力学、(4)水抽出法による高純度LLラクチドの回収、および(5)バイオマス起源のPTMG生産とそのケミカルリサイクルの何れに対しても、当初の予定に沿った結果を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ポリ乳酸/ポリカーボネートブレンドは、ポリ乳酸の熱分解においてポリカーボネートへの影響を抑制する必要がある。そのために、特異的な熱分解触媒を見出す必要がある。 (2)一般分解動力学解析理論を更に広げるために、多段階反応への展開を進め、熱分解触媒や各種添加剤の影響を評価する。 (3)過熱水蒸気による分解性を、現在、ボトル用に大量に消費されている芳香族ポリエステルPETに拡大して検討を加える。 (4)PTMGの新合成ルートの効率化とメチル化触媒の検討を更に進める。
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Research Products
(28 results)