2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23241032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 靖次郎 京都大学, 化学研究所, 教授 (40314273)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 開口フラーレン / ヘテロフラーレン / 内包フラーレン / X線結晶解析 / 酸化還元特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラーレン骨格の炭素原子がヘテロ原子に置き換わったヘテロフラーレンは元のフラーレンと全く異なる物性を示すことが期待されるが、その有機化学的な合成例はアザフラーレン (C59N, C69N) に限られている。開口フラーレンはその前駆体として有用であり、事実アザフラーレンは開口C60ケトラクタム誘導体の脱カルボニル化を経由して合成される。新たな開口フラーレンならびにヘテロフラーレンを合成するには、フラーレンの炭素結合を切断する反応の開拓が必要である。しかし、シンプルなフラーレンの外側への付加反応に比べてそのような反応例は極めて少ない。本研究では、特に例の少ない開口フラーレンC70の合成に取り組み、フラーレン骨格上の炭素原子を硫黄原子および酸素原子に置き変える新規骨格変換反応を見出した。 まず、開口C60誘導体の合成法を基に、開口C70のビスヘミアセタール体を合成した。次に、この粉末を真空下で加熱して開口部から水分子を脱離させることにより、テトラケトン体を発生させた後、ODCB中でπ電子供与体であるテトラキスジメチルアミノエチレン存在下、単体硫黄との熱反応を検討した。その結果、12員環開口部をもち、フラーレン骨格上の炭素原子の一つが硫黄原子に置き換わったチアフラーレンC69S誘導体が収率41%で生成し、その構造はX線結晶構造解析より明らかとなった。一方、この反応において硫黄を用いない条件を検討したところ、硫黄原子の代わりに酸素原子が挿入された、オキサフラーレンC69O誘導体が生成し、その構造は予備的なX線結晶構造解析より明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って研究を遂行し、期待通りの成果を得ている。加えて、当初予想されなかった新物質の合成を見出し、それらの電子デバイスにおける固体物性に興味が持たれる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って研究を遂行する予定である。加えて、当初予定されなかった新物質を合成することができたので、これらの物性解明ならびにデバイスへの応用についても検討を加える。
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Research Products
(10 results)