2013 Fiscal Year Annual Research Report
高効率シンチレータを用いた密着型軟X線顕微鏡による「生きた」細胞の高速動画撮影
Project/Area Number |
23241038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江島 丈雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (80261478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加道 雅孝 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (30360431)
柳原 美廣 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40174552)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 軟X線顕微鏡 / 水の窓 / 生物細胞 |
Research Abstract |
12年度に引き続き、培養液中の細胞を封入し、水の厚さを制御して、細胞像をコントラストよく撮像するために条件出しを行った。SPring-8のBL27SUビームラインにおいて実験を行った結果、おおよそ5μmにすることでコントラストの高い像が得られた。 得られた撮像条件に基づき、軟X線像に含まれる情報を明らかにするために、形と化学状態に注目して実験を行った。観察した細胞を染色しあらかじめオルガネラを特定したうえで、密着顕微鏡法により軟X線像を得た。蛍光染色には、DAPI、Phalloidin、Mito-trackerを用い、蛍光顕微鏡観察により細胞内のクロマチン、細胞骨格、ミトコンドリアを分別した後に同じ部位の軟X線顕微鏡観察を行った。その結果、軟X線像に投影された構造と細胞内の構造を対応させることができた。例えばミトコンドリアの場合、可視蛍光像では回折によりぼける像を粒状の構造としてはっきりと分別することができた。 また、波長による軟X線像の違いを探るために、分子科学研究所UVSORの走査型軟X線顕微鏡を用いて水の窓波長領域の含水細胞の分光顕微像を得た。得られた波長ごとの軟X線像に主成分分析とクラスター分析を適用し、細胞内の主要な構造の分離とスペクトル構造の抽出した結果、細胞核とその周辺のオルガネラ構造を分別したうえで、それぞれに対応するN-K吸収端近傍の吸収スペクトルを得ることが出来た。単体ヌクレオチドのN-K吸収端における吸収スペクトルとの比較から、得られたスペクトル構造は、窒素炭素間の結合に伴うπ*構造とσ*構造が主と考えられる。 以上から、13年度は、生物細胞を軟X線顕微鏡により撮像したときに得られる情報を、形状と化学結合状態の違いにより議論した。これらの知見に基づき、今後はよりシステムとして使いやすい顕微鏡の構築を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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