2011 Fiscal Year Annual Research Report
患者の満足とスタッフの適正労働を実現する地域基幹病院の医療サービス科学
Project/Area Number |
23241047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高木 英明 筑波大学, システム情報系, 教授 (30260467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉瀬 章子 筑波大学, システム情報系, 教授 (50234472)
張 勇兵 筑波大学, システム情報系, 教授 (80242353)
繁野 麻衣子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40272687)
倉田 久 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20508428)
三末 和男 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50375424)
イリチュ 美佳(佐藤美佳) 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60269214)
岡田 幸彦 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80432053)
生稲 史彦 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10377046)
上市 秀雄 筑波大学, システム情報系, 講師 (20334534)
竹原 浩太 筑波大学, システム情報系, 助教 (70611747)
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Keywords | 医療・福祉 / サービス科学 / 患者満足 / 最適化アルゴリズム / ライフ・イノベーション |
Research Abstract |
1.「効率性のサイエンス」グループでは、筑波大学附属病院において、実際に病床管理を行っている現場へ陪席し、具体的な手順の観察や、担当者へのヒアリングを行った。特に、毎週行われているベッドコントロール会議を数度に渡って観察し、病床管理を担当する看護師、医師に対し直接聞き取りを行うことで、どのような方針の基で入院患者を決定するか、どのような点に配慮しているかを調査した。 2.「効果性のサイエンス」グループでは、地域医療に関する住民意識調査として、茨城県南部・西部に居住する20歳以上の男女を対象として、地域の医療体制・医療機関に対するイメージ、病気になった時の医療機関の選択方法等に関するアンケート調査を実施した。アンケート用紙は、1500人に郵送で配布され、回答者は680名(うち男性315人、女性365人)であり、回収率は約46%であった。調査結果の基礎分析を行った。 3.筑波大学附属病院における日毎の平均在院患者数、平均入院患者数の集計結果に対して、待ち行列理論におけるLittleの定理を応用して平均在院日数を計算し、実際の平均在院日数の集計値と比較することで、院内の患者の流れの数理モデルを検討した。 4. 地域の基幹病院との連携により、医療を対象とするサービスサイエンスの研究を実施するという本プロジェクトの実施方針を、我が国のシステム科学の専門家が集まる日本オペレーションズ・リサーチ学会の全国大会と、アメリカにおいて特筆すべき患者中心の医療を展開するMayo Clinic主催の学会で発表した。 5.平成24年9月1日に筑波大学健康医科学イノベーション棟8階において、「医療サービス管理ワークショップ」を開催し、内外の研究者4名が講演を行い、45名の参加者を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年2月までに、附属病院における現行の病床運用方法の調査及び地域医療に関する住民の意識調査を行う予定であったが、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故によるセシウム等の汚染問題が予想外に拡大したため、民意が安定する時期を待って調査を行う必要が生じたので、その経費を繰り越して調査を完了した。それに伴って、研究成果を取りまとめて討議を行うための学内外の専門家によるワークショップも平成24年9月1日に繰り越して開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度における本研究の実施組織は、昨年度に引き続き、(1)最適化の目的関数と制約条件を新しく開発し、患者満足と病院スタッフの負荷軽減の効果を研究・実証する「効果性のサイエンス」グループと、(2)病床の最適割当てを数理科学の手法により研究・実装する「効率性のサイエンス」グループで構成する。 平成24年度には、病床の運用方法に対して、症状の緊急性、施設の利用可能性、診療フロー、診療科からの距離、性別等、様々な制約を考慮した、手術室の運用に関する最適化モデルと病床の運用に関する最適化モデルを作成する。筑波大学附属病院では、これまで約10年間にわたって手作業の病床運用計画作成作業が行われており、制約条件の明文化は十分に実現可能である。病床管理手順の実情調査と病棟・診療科別日次入院患者数統計の把握をもとに、病床の運用に関する数理最適化モデルの作成とプロトタイプシステムの試作を進める。一方、実際に利用可能なシステムのための、ユーザーインターフェースの設計を始める。また、筑波大学附属病院内における過去2年間にわたるすべての患者の入院から退院までの病院内移動データを分析し、診療グループごとに病床利用率、病棟間移動の流れと各病棟での滞在時間の分布、数理・統計モデルの当てはめ等を検討する。これらの成果を公開し、研究者と実務家が討論する場として、第2回「医療サービス管理ワークショップ」を開催する。
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Research Products
(7 results)