2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23241051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土橋 律 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30237177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越 光男 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20133085)
桑名 一徳 山形大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30447429)
茂木 俊夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (50392668)
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Keywords | 安全工学 / 燃焼爆発 / 爆発限界 / 火炎不安定性 |
Research Abstract |
(1)爆発の発生限界(爆発限界)の予測手法の確立 量子化学計算に基づいた種々の可燃性ガスに対する燃焼の素反応モデルの細部を再検討と調整を行った。特に着火源がなくても燃料と酸化剤の混合により自着火するヒドラジンと二酸化窒素の詳細化学反応モデルを構築した。爆発限界に重要な影響を及ぼす燃焼時のエネルギー損失を適切に評価するための流体計算モデルの準備を行った。炭化水素燃料の爆発限界に及ぼす輻射損失の効果を詳細反応機構に基づいて検討した。また、新規モデルの評価検証を行うため、過去の爆発発生限界に関するデータを収集した。さらに爆発限界予測のための流体力学計算に詳細反応機構を組み込むための簡略化法の開発を試みた。 (2)爆発被害の影響度評価手法の確立 (a)火炎の不安定性解析 流体力学的不安定性による火炎の加速を考慮し、マルチスケールモデリングの手法を検討した。フラクタル次元を用いて見かけの燃焼速度を計算することにより、火炎の微小な乱れの影響を大規模爆発予測時の粗い格子間隔での計算に連結できるようにした。また、小規模実験の結果から大規模爆発時の火炎伝播挙動を推定する方法を検討した。 (b)爆発実験 大規模の可燃性ガスを用いた実験の準備のため、ガス供給系、火炎伝ぱ挙動および爆風圧の計測方法を検討し、1m立方規模のガス爆発実験を行った。火炎伝ぱ挙動については、赤外線撮影を行うことにより、太陽光下での撮影が難しい予混合の球状伝ぱ火炎の撮影を行えるようになった。また、火炎半径が50cmまでの規模の火炎の不安定について実験的に計測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定にしたがって混触爆発反応系の詳細反応機構を構築できたこと、また爆発限界予測のための基礎的検討がほぼ終了したことによりおおむね順調に進展していると判断される。爆発影響度予測についても、マルチスケールモデリング手法の検討および実験ともに計画通りに進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒドラジンと類似の反応系(モノメチルヒドラジンなど)の混触発火の反応機構の構築を昨年度に引き続き実施する。さらに実用燃料の燃焼反応は超大規模な詳細反応機構により記述されるが、このような超大規模詳細反応機構を流体力学計算に組み込み、燃焼限界(爆発限界)を予測するための方法論の開発を試みる。 火炎不安定性については、構築した爆発影響度の評価手法を用いて爆発計算を行い、計算条件を変えても矛盾がないことを検討する。 爆発実験については、さらに規模を大きくし、評価手法の検証に資するデータを取得するとともに実験的に火炎の不安定性を解明する。
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