2011 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地にある火山灰質土斜面の自然外力に起因する崩壊危険度評価と予知法の提案
Project/Area Number |
23241056
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三浦 清一 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00091504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 達也 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (60359479)
川村 志麻 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90258707)
横浜 勝司 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (50299731)
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Keywords | 斜面崩壊 / 凍結融解履歴 / 火山灰質土 / 現地計測 |
Research Abstract |
北海道は、積雪寒冷地特有の融雪期における多量の融雪水や凍結融解作用に起因する構成地盤の力学的劣化の影響などによって、斜面災害が生じやすい自然環境にあると言われている。また、比較的歴史の新しい未風化火山灰土(火山性粗粒土)地帯が、北海道の約40%を覆っており、そのことがさらに斜面災害多発の誘因となっていると指摘されている。これまでの研究では積雪寒冷地にある斜面の力学特性評価法及び簡易斜面危険度評価法を提案してきているが、これらの成果を実用化するためには、実斜面崩壊時の含水比、飽和度、間隙水圧等の力学的性質の変化を把握する必要があった。そこで今年度は、斜面崩壊時の力学データを獲得するために実物大模型斜面を構築し、自然条件下にある斜面内の力学挙動を各種計測機器によって把握した。さらに崩壊メカニズムを詳細に評価するための室内試験装置を開発した。実施した研究内容は次の通りである。 (1)実物大斜面の構築と各種計測機器の設置:高さ5m、奥行き5m、傾斜45°の実物大斜面を北海道の火山灰質粗粒土の代表的な試料である支笏火砕流堆積物を使用して構築した。また、構築した斜面内には土壌水分計、温度計、加速度計、間隙水圧計を設置した。これらの計測器により斜面内のデータを自動的に10分間隔で取得できる計測システムを構築した。今年度は平成23年夏季から平成24年3月末までの斜面内の計測データを取得し、積雪や凍結融解履歴を受けた斜面の力学挙動を詳細に分析した。 (2)凍結融解履歴載荷型不飽和繰返し三軸試験機の製作:自然地盤とほぼ同様な凍結・融解履歴および繰返し載荷履歴を再現できる凍結融解履歴載荷型繰返し不飽和三軸試験機を製作した。上記の実物大斜面構築に用いた試料で不飽和状態での力学挙動を評価する試験法を確立した。 (3)自然条件を再現した室内模型斜面の降雨・凍結融解による崩壊実験:二次元平面ひずみ模型土槽装置を用いた室内模型実験を実施した。斜面崩壊時の力学挙動を計測し斜面崩壊予測法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画していた実物大斜面構築、凍結融解履歴載荷型不飽和繰返し三軸試験機の製作、自然条件を再現した室内模型斜面の降雨による崩壊実験の実施について、いずれも計画通りに実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降も研究計画通りに実施する予定である。特に、平成24年度には実物大斜面の崩壊実験を予定しているため、年度の早い段階での研究実施を行う必要があると考えている。
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