2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23241061
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
四方 哲也 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (00222399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 利彦 東邦大学, 理学部, 准教授 (90339200)
イン ベイウェン 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 特任准教授 (90422401)
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Keywords | ゲノム進化 / 高温適応 / トランスクリプトーム / 分子進化 / プロテイオム |
Research Abstract |
1.45℃適応大腸菌系譜に対する解析 高温適応実験375口目までの適応度上昇の速い45℃適応過程大腸菌を用い、45℃適応で生じた変異の出現時期の解析を行った。その結果、375口目までの全変異の導入→固定の挙動が明らかとなり、45℃適応過程で固定された同義置換(中立変異)は、同時期に固定された非同義置換と同じ挙動で固定されていた。 トランスクリプトーム解析では、一塩基タイリングアレイを用い、各過程の大腸菌集団の全遺伝子のmRNAを定量的に解析した。この解析により、進化過程において、遺伝子の変異しやすさがその遺伝子の発現レベルとの関連性を見出した。また、変異の影響下に、高温適応における細胞内遺伝子発現ネットワークの変動を観測し、有意に変化した遺伝子群を同定した。そして、特定の大腸菌集団に対して、タンパク質レベルの解析を試みた結果、タンパク質レベルの変化が認められた。しかし、これらの一連の解析から、新たな変異の可能性が示唆され、ゲノム配列の追加解析が必要となった。 2.GroEL変異による有害変異緩衝効果の解析の準備 GroEL変異に伴う大腸菌集団中の遺伝的多様性の変化を解析するため、375-523口目までのゆっくりとした適応度上昇を示す時期の大腸菌集団を、時系列に沿って20口ごとにシングルセル培養によりクローン化し、有害変異緩衝効果のみならず分子進化速度解析に必要な大腸菌クローンプールの準備を完了した。 3.更なる高温適応進化株の構築 分子進化が加速されていた大腸菌株(培養523口株)を用いて更に高温適応させることで、加速された分子進化が適応度等の表現型進化にどのように関連するか、速い分子進化が高温適応進化を加速させるか、を検証するため、523口目株を用いて更なる高温適応大腸菌の創出に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の推進に当たって、途中での計画の変更があったが、想定外の成果が得られているので、おおむね順調と評価した。新しい結果(中間分析の結果)を活かして、より精度の高い研究成果が得られる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のキー遺伝子GroELが変異によって適応進化に緩衝効果をもたらすことを想定して検証実験を取り込んでいるが、ネットワーク解析の途中に、新たな変異が見つかり、GroELがその新しい変異遺伝子の共役によって、大腸菌が適応進化した可能性を示唆した。そのため、おおむねこれまでの計画に沿って研究を進めていくが、新しい変異を考慮した解析を実施する。
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Research Products
(13 results)