2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖プライマー法を活用した新規グライコミクスを基盤とする細胞機能の解析と制御
Project/Area Number |
23241075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 智典 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00162454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 輝彦 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (10325251)
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Keywords | 糖鎖 / 糖鎖プライマー / がん細胞 / 質量分析装置 |
Research Abstract |
糖鎖プライマーとして、Lac-C12、GlcNAc-C12、およびGalNAc-Thr-C12、GalNAc-Ser-C12(C10,C14)の合成をおこなった。合成した糖鎖プライマーを細胞への投与して糖鎖伸長生成物の構造解析を行なった。糖鎖プライマーを添加した培養液を用いて細胞と2日間程度培養した。細胞としては、HCVの感受性の異なる細胞、転移性のがん細胞などを用いた。培地中の生成物は逆相カラムを用いて回収して得られた生成物を、MALDI-TOF-MSやLC-MSを用いて分析した。LCでの溶出時間およびMS(n)スペクトルが糖鎖に固有の情報となることから、得られた糖鎖構造の解析のためのデータベース化を行なった。LC-MSでの構造解析の確認のために、必要に応じて糖加水分解酵素に対する基質特異性を検討し、メチル化した糖鎖をMALDI-TOF-MSで解析した。用いた細胞で得られた糖鎖構造および生成量を表示した糖鎖パネルを作成した。従来の研究で用いた細胞株での結果を含めて、発現糖鎖の比較解析を行なった。特に、転移性のがん細胞では細胞遊走と関係している糖鎖、HCVの感染性の高い細胞に発現する糖鎖を見いだした。ipS細胞での糖鎖解析も実施した。また、迅速かつ信頼性の高い糖鎖のマススペクトルの解析を行うためのソフトウエアを開発するために、糖鎖構造を予測するアルゴリズムの作成を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に必要な糖鎖プライマーの合成を完了した。複数の細胞に糖鎖プライマーを投与して、糖鎖伸長生成物の解析を実施した。それにより、転移性のがん細胞とC型肝炎ウイルスへの感受性の異なる細胞に特異的に発現あるいは高発現する糖鎖を見いだすことができた。またマススペクトルのフラグメント解析に利用できるアルゴリズムのためのプログラムの作成を行ない、性能の評価を行った。よって、当初の予定の実験を予定通り実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
糖鎖プライマーを用いて解析する細胞種を増やして、糖鎖パネルのデーターベース化を行なう。特に、転移性のがん細胞に発現する糖鎖と細胞遊走性との関連を明確にして、がん転移に関わる糖鎖の機能解析を行なう。また、C型肝炎ウイルスの感受性と関連のある糖鎖の解析により、ウイルス感染との関係を明確にする。さらに、マススペクトル解析のためのアルゴリズムの改良を行う。
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Research Products
(7 results)