2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23242022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
神田 和幸 中京大学, 国際教養学部, 教授 (70132123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 一成 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00127169)
大杉 豊 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 准教授 (60451704)
木村 勉 豊田工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (80225044)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 手話 / ハイブリッド言語 / 項構造 / 手話文法 |
Research Abstract |
鹿児島での現地の聴覚障害者・手話通訳者に対して、日常の不便、手話コミュニケーション方法の実態を聞き取り調査するにあたり、鹿児島市水族館の協力を得て、手話を交えた通常時はセルフガイドシステムとして、非常時は避難誘導システムとして利用できるような携帯電話を用いたシステムを構築。一般公開実験をすることになり、地元のろう団体の協力を得て、12名にこの実験に参加してもらい、手話の内容、システム、こうした応用研究について、評価をしてもらった。評価は日本語によるアンケート記入の他、手話通訳者による手話面談の評価も得た。この結果は国際学会で発表した。 関西地区(京都・大阪)では、これらの結果の手話分析を行った。また筑波では手話地域方言を収集しデータベース化を行った。 資料収集は予定通り、東京、大阪、新潟、鹿児島の聴覚障害者団体・個人に依頼し、手話単語と手話例文の資料を提供してもらい、手話文法の実証データとした。 鹿児島で発見された古い手話文献について、筑波技術大学において、高齢のろう者に依頼し復刻作業を行った。その結果は画像データベースに格納し、一部を学会発表した。 本作業に加え、古い手話辞典を文字で復刻し、データベース化した。 手話データ収集作業は年度計画を先取りし、新潟でも行った。新潟では、日本語に対応した手話は独自の文法をもつハイブリッド言語であるとの見解を得たので、ハイブリッド手話と命名し、地元で講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
手話データ収集は順調に展開しており、データベース化も順調で、内容の公開も一部進めている。資料提供者は協力的で、想定していたよりも多くの資料が集まった。 鹿児島市水族館という公共施設の協力により、公開実験することができる環境が整ってきたことは、応用研究と評価実験が同時に行える利点があり、研究推進にとって幸運だったといえる。 国際会議での発表も好評であり、国内学会でも手話文法が項構造という日本語や英語とは異なる統語構造をもっていることが次第に認知されてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
災害時要避難援護者である高齢者・障害者に対する避難誘導という新たなテーマが研究途上で浮上してきた。聴覚障害者にとって手話は不可欠なコミュニケーション手段であるが、一方で時間的制約への対応が迫られるため、文字情報との併用の問題も再浮上してきた。手話文法は項提示の同時性という時間の節約構造があるという利点を活かしつつ、これらの諸問題について、実験的な成果を踏まえつつ、具体的な提案をしたいと考えている。 水族館での公開実験の成果を公開することで、公共施設での手話使用について、建設的な提案ができると考えている。
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Research Products
(7 results)