2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国における土地領有の慣習的構造と土地制度近代化の試み
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23242043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片山 剛 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30145099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 茂 大阪大学, 文学研究科, 名誉教授 (30087150)
田口 宏二朗 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (50362637)
稲田 清一 甲南大学, 文学部, 教授 (60221777)
荒武 達朗 徳島大学, ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (60314829)
大坪 慶之 三重大学, 教育学部, 准教授 (30573290)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 伝統中国 / 近代東アジア / 不動産登記 / 地籍図 / 国際研究者交流 / 中国:台湾 / 国際情報交換 / 中国:台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
主要な成果は、南京国民政府下の首都南京で1934~36年に実施された不動産登記事業を原文書から考察し、第一に、一筆の土地区画における境界線の位置を、詳細な調査と正確な測量によって描いた戸地図が登場したことは、都市住民に境界線の厳密な位置に対する関心を引き起こしたと推測した。また、その後の不動産売買にとって、かかる詳細な戸地図は必要不可欠となり、その意味で戸地図を作製・保管する地政機関の不動産売買への関与は不可避のこととなっていくという見通しを得た。第二に、農村と比べた場合の都市不動産の特性として、一筆の土地区画における建物価格は一般に土地価格よりも高いため、土地と建物を一緒に売買する場合、それは土地の売買というよりも、建物の売買として認識されていた可能性を指摘した。第三に、登記完了後に不動産所有権者の手元に残る書類は、地政機関が発給した戸地図と所有権状のみとなり、所有権の正当性の由来を証明する古い売買契約書や政府発行の古い証明書は地政機関に保管される。これは、所有権の正当性を証明する責任を事実上所有権者が負っていた伝統中国のあり方を大きく変更し、地政機関、すなわち政府が証明責任を負うようになったことを意味すると推測し、本登記事業の中国史上における意義を指摘した。以上、不動産の都市的特性、および当該登記事業の新機軸について多くの新知見を獲得することができた。 本課題の期間中に、南京等を対象とする多様な地理空間情報を収集できた。たとえば南京市街地の場合、従前の土地区画・家屋がほぼ保存されている地区について、1930年代から60年代に至る時期の資料を比較し、かつ現地調査を加えることで、改革開放前の土地区画や家屋の状況を復原し、これを通じて中国都市社会を具象的に考察することが可能となる。これが次に企画されるべき重要な課題の一つである。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(23 results)