2011 Fiscal Year Annual Research Report
歴史認識の変容と文化遺産・景観の思想に関する比較研究
Project/Area Number |
23242045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
立石 博高 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (00137027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八尾師 誠 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (20172926)
金井 光太朗 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (40143523)
相馬 保夫 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (90206673)
篠原 琢 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (20251564)
千葉 敏之 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (20345242)
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Keywords | 西洋史 / 文化遺産 / 東洋史 / 中東 / 都市計画 / 景観 / 国際研究者交流 / ポーランド |
Research Abstract |
研究計画の初年度にあたる平成23年度は、まず6月18日に第1回国内研究会を東京外国語大学本郷サテライトにて開催し、研究メンバーの間で、4年間にわたる研究スケジュールを確認するとともに、各自の研究計画について報告をおこなった。これを受けて研究メンバーは、計画調書にある研究班ごとに、国内・海外で調査・研究を進めた。研究班Aのメンバーは、まず基礎研究項目についての調査・研究を現地で進め、研究班B・C・Dについては、個別課題の遂行にあたり、必要となる文字史料・文化遺産の調査を現地でおこなった。11月には1名をパリで開催されたICOMOS会議(国際記念物遺跡会議)に派遣し、2月11日には日本ICOMOSからゲスト講師を招いた国内研究会を本郷サテライトで開催した。12月17日・18日には福山市鞆の浦で、鞆の浦の文化的景観保全に関する研究会を行ない、また鞆の浦の文化遺産・景観についての視察をおこなった。18日午後には、広島平和記念資料館を訪問し、原爆投下後の広島市の景観復元について学び、本科研の主題との関連性について、メンバー間での意見交換をおこなった。これらの調査・研究によって、わが国における文化的景観・文化遺産の保全、過去の記念をめぐる事例を実地に学び、またわが国における文化遺産保全の現状についての認識を得た。さらに3月3日には、ポーランドの在クラクフ・国際文化センターの所長・所員を講師に招き、文化遺産をめぐる国際比較のための研究会を本郷サテライトにて開催した。両氏によるポーランドの文化遺産をめぐる実態と文化遺産学の確立と文化遺産保全に関わる人材養成についての報告をうけ、わが国の現状との比較、ならびに本研究計画が主題とするヨーロッパ・中東間の文化遺産をめぐる歴史的関係をめぐる討論をおこなった。そのうえで、今年度の成果を総括し、研究メンバーの間で次年度に向けた課題の共有をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年間の文化遺産をめぐる概念比較・交渉史を進めていくうえで、わが国における文化遺産保全の現状とその国際的立場をICOMOSに直接かかわる講師を招いて学び、また実地に検証することができたことは、本研究計画を進めるうえできわめて有益なことであった。また、日本との比較という観点から、ポーランドにおいて文化遺産学とその教育を担う講師を招いた国際研究会も、次年度以降の研究に直接に役立つ視点と認識を得られた点で、有益であった。また、研究班ごとの研究計画も、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
文化遺産をめぐる歴史研究は、文化遺産学という未確立の学問分野に資するだけでなく、文化遺産保全についてわが国や国際的な場で活躍する人材育成にも深く関わるものである。今後は、計画調書に記した研究班ごとの研究を推進するに当たり、こうした現場の観点を組み込んでいくことが不可欠となる。今年度の活動を通して得られたこのような認識を、次年度以降の研究にさらに反映していくために、日本ICOMOSのメンバーを研究協力者に加え、またわが国の文化遺産に関する観点を強化すべく、日本史研究者を新たに研究分担者に加えることとする。
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Research Products
(14 results)