2012 Fiscal Year Annual Research Report
ケニア海岸地方のスピリチュアリティおよび宗教性に関する人類学的国際学術研究
Project/Area Number |
23242055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
慶田 勝彦 熊本大学, 文学部, 教授 (10195620)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2016-03-31
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Keywords | 東アフリカ / 宗教 / スピリチュアリティ / 国際学術研究 / 社会・文化人類学 / アフリカ研究 |
Research Abstract |
H24年度の交付申請書の「研究目的」および「研究実施計画」に照らし、当該年度に実施した研究成果について述べる。 1)H24年度の前期(9月まで)は、H25年8月5日~10日に英国マンチェスター大学で開催される第17回国際人類民族科学連合(IUAES)での研究パネル組織(組織者は本科研の代表者慶田と連携者岡崎、海外研究協力者のD.パーキン)を進め、その過程でケニアおよび東アフリカにおけるスピリチュアリティと宗教性についての情報交換や議論を行った。最終的に日本から7名(熊本大、一橋大、神戸大、国立民族学博物館)、英国(オックスフォード大学)から5名の東アフリカ研究者がパネルで発表することになった。パネル名はTrust in Super-Diversityで一般発表の部でエントリー(G20)が確定している。IUAESでのパネル組織は本科研の目的のひとつである人類学的国際学術研究にとって重要な位置にあり、具体的な成果のひとつとなるが、本年度はその準備を予定通りに進めることができた。 2)ケニア海岸地方の調査に関しては、研究連携者の浜本が中心に実施した。特に浜本と同じ地域を調査する岡本(九大)を研究協力者として長期現地調査に派遣し、浜本と慶田が調査研究の助言にあたった。浜本はこれまでの調査データを駆使して、ケニア海岸地方の妖術に関する報告書(現在、出版申請中)を作成した。慶田は若手研究者の香室(熊大)を比較研究のためナミビアに派遣し、研究指導を行った。また、橋本(一橋大)を比較研究のためにスーダンに派遣したが、本研究指導は岡崎が担当した。岡崎自身もH25年度のIUAESでの発表のため、スーダンとガーナで調査研究に従事した。久我もケニアでの長期調査を継続し(別資金)、その研究指導を慶田が担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度の研究計画を含む全体の研究はおおむね順調に進展している。 1)国際学術研究は、H25年度に英国マンチェスター大学で開催される第17回国際人類民族科学連合(IUAES)でのパネル参加が確定した。研究代表者の慶田、連携者の岡崎、海外協力者のD.パーキンが組織者を含め、日本側からは一橋大、熊本大、神戸大、国立民族学博物館の研究者7名、英国側からはオックスフォード大学の社会人類学および宗教学(ムスリム&クリスチャン研究センター)の研究者5名が参加する(組織者を除き、中堅、若手研究者が主体)。このパネル組織に関しては研究連携者と研究協力者の尽力が大きいが、当初の予定よりも円滑にパネル組織が進行したのはD.パーキンとオックスフォード大学の人類学&博物館民族誌研究部の統括責任者のD.ゲルナー教授によるサポートが大きく影響している。 2)H24年度は研究代表者の慶田は現地調査を実施できなかったが、研究連携者、若手研究協力者が東アフリアとその関連地域で調査し、それぞれ研究成果を残している。また、研究代表者と連携者も各種研究会やセミナー等で本科研に関連した研究発表を行ったり、若手研究者の研究指導にあたり、国内外での研究の質向上に尽力している。 3)アフリカ研究セミナーは2回開催した。本年度に予定していたテーマ「邪術・妖術・呪術」をセミナー全体のテーマにできなかった点がマイナス評価であるが、アフリカ人類学研究のピアレビューによる質的向上については参加者からも高い評価を得ることができ、セミナーの目的の本質は達成された。今後はテーマをあまり限定せずに、アフリカおよび人類学に関係する気鋭の研究者の発表を中心にセミナーを開催していくことにした。 上記から、H24年度研究計画を一部変更したり、修正したりした点を除くと、全体として本科研はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題はこれまで比較的順調にきているので、基本的な方針は当初の計画と変更はないが、以下、これまでの経緯を踏まえて以下に具体的な今後の推進方策について記すことにする。 1)ケニア海岸地方の「カヤ」の研究は、これまでの調査をもとに代表者、連携者、協力者によって推進されているが、昨年度は現地調査による最新の動向が把握できていない。来年度以降は、研究代表者を含む「カヤ」の現地調査を実施する。 2)国際学術研究については、H25年度のIUAESでのパネル発表を成功させ、その成果を日本語あるいは英語で公表することである。また、このパネルに参加した若手研究者をネットワーク化し、日本、英国、東アフリカの研究者による小、中規模の人類学的国際研究連携(頭脳循環)の基盤構築が最終的な目的である。 3)アフリカ人類学ゼミナーは概ね高評だったが、テーマ、人選、継続性、開催場所などをこれまで以上に検討する必要がある。H25年度はIUAESのパネルに多くの予算を費やすためセミナーの定期開催は困難であるが、最低1回は開催する予定である。今後のセミナー推進の方策としては、H25年度にH26、H27年度のセミナー計画を入念に準備し、海外からの発表者招聘を含むアフリカ人類学セミナー開催の実現である。 4)その他、HPの公開が遅れている。アフリカ人類学セミナーの成果およびIUAESのパネル情報、さらには各研究者の研究成果などはその一部をH25年度5月中に公表し、本研究課題の一般公開に着手する予定である。英語版についても、成果の一部をH25年度中にはweb公開したい。H25年度はIUAESでのパネル発表とケニアのカヤ調査、H26年度はケニアのカヤに関する国際セミナー(日本での開催。国内外から研究者を招聘する)とアフリカ人類学セミナー開催、若手の研究支援、H27年度はアフリア人類学セミナーを中心とした研究総括を実施する。
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Research Products
(3 results)