2013 Fiscal Year Annual Research Report
ケニア海岸地方のスピリチュアリティおよび宗教性に関する人類学的国際学術研究
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23242055
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
慶田 勝彦 熊本大学, 文学部, 教授 (10195620)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2016-03-31
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Keywords | 国際人類民族科学連合(IUAES) / ミジケンダの聖なるカヤの森 / 文化遺産 / 妖術・託宣・呪術 / 東アフリカの宗教的実践 / 文化遺産 / 多様性 |
Research Abstract |
H25年度の交付申請書の「研究目的」および「研究実施計画」に照らし、当該年度に実施した研究成果について述べる。 1)H25年度は、当初の予定通りH25年8月5日~10日に英国マンチェスター大学で開催された第17回国際人類民族科学連合(IUAES) での研究パネルG20: Trust in Super-Diversityを慶田勝彦(研究代表者)、岡崎彰(連携研究者)、D.パーキン(海外研究協力者)を代表として組織した。H25年8月6日に上記3名の他、梅屋潔(神戸大学)、小川さやか(立命館大学)、吉田優貴(明治学院大学)、橋本栄莉(一橋大学)、田口陽子(京都大学・JSPS研究員)、A.サントス(オックスフォード大学)、N.ベックマン(ローハンプトン大学)、J.チェスワース(オックスフォード大学)、I.バーヤ(オックスフォード大学)の9名を加えた12名で研究発表を行い、その後、パネル原稿の論集化や研究協力体制のあり方について議論すると同時に各自がIUAESの参加者と新たなネットワークを構築した。英国滞在中、慶田は岡崎、秋月(研究協力者)とともにR.ワーブナー教授(マンチェスター大学)との研究連携を深め、IUAES研究大会終了後はD.パーキン教授、D.ゲルナー教授(オックスフォード大学)、R.リトルウッド教授(UCL)から本研究プロジェクトに関して貴重な助言を得た。 2)ケニア海岸地方の調査に関しては、若手研究者の岡本(九大)と秋月(熊大・研究員)を研究協力者として、それぞれクワレ地区とモンバサに派遣した。また、慶田は別のプロジェクト資金でカヤを訪問すると同時にケニアのキリフィに位置するプワニ大学との研究連携を新たに確立することができた。また、慶田はカヤ・プロジェクトとの関係で2013年5月には国立民族博物館で開催された文化遺産をめぐる国際シンポジウム(英語)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度の研究計画を含む全体の研究はおおむね順調に進展している。 特に、国際共同研究の推進は当初の計画よりも順調に進んでいる。以下、その理由と全体として実施が遅れている点について言及する。 1) H25年8月6日にマンチェスター大学で開催された第17回国際人類民族科学連合(IUAES)でのパネル組織と研究発表( G20: Trust in super-diversity)は大成功だった。日本側からは7名、英国側からは5名が参加して有意義な議論を展開することができたし、発表原稿をもとにした英文論集をH26年度には刊行する計画も具体化した。両国の若手研究者にとっては国際的な研究活動の実績として大変意味のあるものになった。また、英国滞在中に慶田は東アフリカの人類学研究を進展させるためにローハンプトン大学の人類学関係者やUCLのR.リトルウッド教授、イタリアのドキュメンタリー作家との新たな連携を確立することもできた。さらに、慶田はH25年5月に国立民族学博物館で開催された文化遺産をめぐる国際シンポジウムでカヤ・プロジェクトの研究成果の一部を発表(英語)し、米国および英国の研究者との学術的な交流を深めた。そして、H26年度には英国、日本、ケニアの3カ国の研究者が参加するカヤの現地調査の準備も整った。以上から、国際的な学術研究としては当初の予定以上に進展していると判断した。 2) 当初の計画よりも実施がやや遅れているものがある。一つは本科研プロジェクトのHP公開である。すでに公開準備は進めているが、H26年度の夏までには研究成果をweb上で公開していく必要がある。もう一つは、予定していた若手研究者の調査報告(アフリカ人類学セミナー)が年度内に実施できなかったため、H26年度に先送りしたことである。上記2点の実施が遅れたため、本研究は全体として「おおむね」順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題はこれまで順調にきているので、基本的な方針は当初の計画から変わっていないが、以下、これまでの経緯を踏まえて具体的な今後の推進方策について記す。 1) ケニア海岸地方の宗教、スピリチュアリティの研究はIUAESでのパネルを基点として着実に進展しているが、本格的な現地調査経験を共有する国際研究には至っていない。来年度以降は「カヤ」プロジェクトを中心とし、新たに研究連携したプワニ大学(ケニア海岸地方キリフィ地区)を拠点として(連携拠点を従来のケニア国立博物館からプワニ大学に変更するがケニア国立博物館との協力体制は維持する)、日本(慶田、浜本、岡本、秋月)、英国(D.パーキン、A.サントス、R.リトルウッド)、ケニア(MADCA、M.チドンゴ、G.クンバータ、I.バーヤ)との国際共同調査研究を開始する。また、H25年度に実施したIUAESでのパネル発表の成果を英語で公表すると同時に、日本、英国、東アフリカの研究者による小、中規模の人類学的国際研究連携の基盤構築を進展させる。 2) H26年度はアフリカ人類学ゼミナーの国内開催を活発化し、特に「妖術・託宣・呪術」に関する理論的な研究を推進し、日本語で成果を出す。なお、アフリカ人類学セミナーの一環として、H26年度にはD.パーキン教授を日本に招聘し、岡崎(連携研究者)と協力して国際シンポジウムを開催する。また、岡崎はH26年度に日本で開催されるIUAES研究大会、米国で開催されるスーダン研究に関する国際シンポジウムに参加し、研究発表を行う。3)その他、これまでの研究成果はその一部をH26年度の夏までに一般公開する。H26年度はカヤの国際共同調査と国内外での研究成果の刊行、国際学会での発表と研究ネットワーク構築、アフリカ人類学セミナー開催を中心とした研究活動を行う。H27年度は研究を総括し、研究成果を広く可視的にする実践を行う。
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Research Products
(3 results)