2013 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける知識基盤型経済へ向けた共生的制度構築の研究
Project/Area Number |
23243049
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
平川 均 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (60199049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳丸 宜穂 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00387656)
多和田 眞 愛知学院大学, 経済学部, 教授 (10137028)
小川 光 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10313967)
柳瀬 明彦 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10322992)
新海 尚子 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (10377765)
家森 信善 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80220515)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 知識基盤型経済 / IT産業 / インフラ整備 / 経済統合 / 人材育成 / TPP / 地場産業 |
Research Abstract |
3班体制で研究を行ってきた。本研究が課題にしたように、アジアの持続する長期の経済成長は、その重点を従来注目されてきた中国を中心とする北東アジアに加えてASEAN、インドなどの東南アジア、南アジアへと拡大させている。しかも、新たな国際分業が展開されている。ITの発展に支えられた知識基盤型経済への転換は、ソフトウェア・サービス業務の国際分業を生み出し、その動きは今世紀に入って急速に一般化している。上記のようなアジア経済の変化を背景に、本研究では労働集約的経済構造からIT産業などの知識基盤型経済構造に向けた新しい経済の発展について考察を深めてきた。これらの変化をどう理解するかが、今日重要な研究課題となりつつあるからである。 第1班は、今年度は知識基盤型経済に向けた貿易、投資、教育などの実態についての研究を行った。貿易の分野では自由貿易協定の推進過程の中で、アメリカの主導するTPP構想のアジア諸国への提案と、それに対する日本の対応について事態が進行しており、引き続き研究を深めた。ベトナムにおける地場産業の発展とその展望に関わっての研究も調査を下に発表を実現した。昨年度の研究をもとにその研究成果を日本語で発表し、英語論文はフィリピン大学のジャーナルにレフェリー論文として掲載が予定されている。第2班による研究は、昨年に引き続き、中国都市銀行の企業支援金融に関する研究の他、日本の地域中小企業に対する東南アジア進出支援金融に関する研究を行った。また第3班の理論研究は、中間公共財のある場合の貿易利益の関係を深めた。自由貿易協定と製造業の垂直的分業構造の研究などを精力的に行った。 それらの成果は国内、海外での多くの研究会議で発表し、成果も国際的学術雑誌を含んで発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果として、雑誌論文9件、うち査読付き4件、学会発表25件、うち招待講演7件、図書2件であった。IT化と知識基盤型経済に向けたサービス業務の国際化についての基礎的知見を得た。ベトナムに関しては地場産業におけるアンケート調査をもとに共同論文の公刊を実現した。研究発表では、国内では経済理論学会、日本経済学会、国際経済学会などで共通論題の発表や、コメントを行い、海外でも中国、カンボジア、フィリピン、ポルトガル、カナダなどで報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究体制としては引き続き3班体制を組む。特に、地域統合と知識基盤型経済への移行に関わる国際分業の展開の考察を、総合的な観点から概観できるように研究を深める。また、積極的な研究成果の発表と刊行を目指す。来年度は最終年度に当たるが、現実の経済の動向は、米国の量的規制緩和の縮小に伴う新興国問題に見られるように、先進地域の経済政策に強く影響を受けている。同時にその産業化の実態では、依然としてダイナミックな変化を引き起こしている。地理的にもその重心は中国、東南アジア、インドへと確実に広がりを見せ、こうした発展軸の空間的移動の観点も研究上重要となっている。来年度は従って引き続き東南アジアの研究に注力する。また前年に続き「中所得の罠」論などの課題でも研究を深める。 第1班は、TPPとRCEPなどの地域統合の動向と新たな産業構造の変化を追い、第3班も自由経済圏と企業行動、国際分業に関わる理論研究を進める。第2班は地域金融と地域企業のアジア進出支援金融に関する研究を引き続き進める。実証研究と理論研究の交流を緊密化させる。
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