2011 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の健康・心理・社会的側面の横断的・縦断的変化におけるコーホート差の研究
Project/Area Number |
23243062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 弘子 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 教授 (10292731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 江里香 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (10311408)
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Keywords | 高齢者 / 世代 / ジェンダー / 縦断研究 |
Research Abstract |
わが国では、戦後生まれの世代が高齢期にさしかかるなど、高齢者における世代交代が進んでおり、ある高齢者コーホートにおいて得られた結果が、次の世代の高齢者にも適用できるのかといった、時代的な影響を含むコーホート差の検証が、学術的・政策的に重要になっている。本研究は、1987年から継続する全国高齢者の追跡調査のデータ(計8回)と、戦後生まれの世代を含む新しい高齢者パネルの初回調査データを用いて横断的・縦断的な分析を行い、1)高齢者の心身の健康や主観的幸福感、社会関係・活動における実態や加齢に伴う変化の仕方、および2)これらの健康・心理・社会的側面の規定因について、出生コーホートによる差異や共通点を、ジェンダー要因も視野に入れて明らかにする。 平成23年度は、この全国調査の第8回調査(新パネルにとっての初回調査)の実施を計画していたが、震災の影響により平成24年度に延期した。調査は9月末から1月にかけて、以前からの追跡対象者約2000人(76歳以上)と全国から新たに無作為抽出した2500人(60~92歳)を対象に訪問面接法で実施した。追跡対象者の一部(施設入所者等)には現況を尋ねる調査票を送付した。 一方、1987年~2006年に実施した7回の追跡調査データ(約5000人)を分析し、高齢期の社会的側面の加齢変化とコーホート差について検討した。その結果、高度経済成長期を中年期以降に経験したコーホート(C1:~1915年生まれ)に比べて、最近のコーホート(C2:1916-25年,C3: 1926-36年)ほど、私的なつきあい(友人数、接触頻度など)では女性が男性を上回るという男女差が拡大し、グループ参加(所属グループ数、活動頻度)では男性が女性を上回るという男女差が縮小しており、社会的ネットワークの男女差は、コーホートが経験したライフコースにより変わり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請時には、平成23年度に全国高齢者調査(第8回)を実施する計画であったが、対象地域に東日本大震災の被災地が含まれ、予定していた時期に新規標本の抽出を行うのが困難であったことや、対象者の負担を考慮し、調査の実施を1年延期した。24年度には予定通り調査を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
調査の実施が1年延期されたことに伴い、第8回調査までを含めたデータ分析の開始が当初の計画より1年遅れ、平成25年度からとなるため、平成24年度は、第8回調査の実施と平行して、引き続き、既存データ(第1回~第7回)の分析を進める。また、同じ理由により、平成24年度に予定していた調査結果をまとめたパンフレットの作成と対象者への送付が1年遅れ、平成25年度に予定していた郵送簡易調査の時期と重なるため、郵送調査票をパンフレットとともに対象者に送ることを検討する。
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Research Products
(5 results)