2012 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の健康・心理・社会的側面の横断的・縦断的変化におけるコーホート差の研究
Project/Area Number |
23243062
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 弘子 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 教授 (10292731)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 江里香 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (10311408)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 高齢者 / 世代 / ジェンダー / 縦断研究 |
Research Abstract |
本研究は、1987年から継続する全国高齢者の追跡調査のデータ(計8回)と、戦後生まれの世代を含む新しい高齢者パネルの初回調査データを用いて横断的・縦断的な分析を行い、1)高齢者の心身の健康や主観的幸福感、社会関係・活動における実態や加齢に伴う変化の仕方、および2)これらの健康・心理・社会的側面の規定因について、出生コーホートによる差異や共通点を、ジェンダー要因も視野に入れて明らかにする。 平成24年度は、延期していた第8回調査(新パネルの初回調査)を実施した上で(平成23年度の繰越分)、回収データの点検作業を進めた。その結果、面接調査の回収数は、以前からの追跡対象者(76歳以上)が1,490票、今回新たに全国より無作為抽出された新規対象者(60~92歳)が1,450票であり、死亡や施設入所者を除く回収率は、各78%、59%だった。属性別では、男性に比べて女性の回収率が低く、新規対象者では60代の回収率が低かった(56%)。 また、新規標本が追加された1999年調査の分析により、各種の社会的ネットワーク、健康、経済状態と主観的幸福感(SWB)との関係を、前期・後期高齢者で比較した結果、子どもとの交流は後期高齢者においてSWBとの関連がより強いなどの年齢差がみられた。今後、1987年(第1回)、2012年(第8回)調査の結果とも比較し、観察された年齢差が加齢変化によるのかを確認する。さらに1999~2006年の3波の調査を用いて加齢に伴う家族以外の社会関係の変化を分析した結果、親しい近隣数および友人や近隣との接触頻度が加齢により低下すること、またその低下の一部が、身体機能の加齢変化、および、将来展望という心理的現象の加齢変化によって説明されることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第8回調査の完全データの納品が3月末となったため、年度内はデータの点検作業の一部のみを実施した。平成25年6月までにはデータクリーニングを終了し、研究者各自が、新しい調査データを含む計8回の縦断データを分析可能になる見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
第8回調査の新規対象者の回収率(59%)は、本縦断研究における過去の調査の新規対象者の回収率に比べて低いため、未回収者の特徴を調べて回答者の偏りの程度を明らかにするとともに、過去の調査における未回収者の特徴との比較もおこない、データの質について慎重に検討する。追跡対象者については、高齢のため死亡や施設入所による脱落が多くなっているが、80代以上だけでも千人以上から回答を得ている。死亡や生存期間を従属変数とした分析や、超高齢期の課題に焦点を当てた分析など、長期縦断データの利点を最大限に生かした研究を進めたい。
|
Research Products
(4 results)