2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23243076
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 裕之 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 准教授 (40243977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
レメイン ジェラードバスチアン 九州大学, 国際教育センター, 准教授 (40467098)
須長 正治 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 准教授 (60294998)
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Keywords | 順応 / 残効 / 学習 / 残像 / 錯視 / ベクション / 知覚 / 視覚 |
Research Abstract |
本年度は以下の項目について、主要な研究成果が得られた。 1.残像の研究を行なった。実際より明るく見えるような錯視を起こす図形に順応した後、残像が暗く見えるかどうかを検討した。グラデーションによって輝くように晃える図形、陰影と認識されることによって明るく見える図形を用いて実験した結果、錯視的明るさに対応するはっきりした残像は確認されなかった。また、円盤状の図形をしばらく見た後に見える残像は、6角形に見え、逆に6角形の図形をしばらく見た後に見える残像がしばしば円形に見える現象をPsychological Science誌に発表した。この現象は両眼間にも転移する現象であることから、網膜上の光受容器レベルの順応では説明できず、脳内での形態への順応によるものであることが明らかになった。 2.視覚による自己移動感(ベクション)の実験において、しばらく動く刺激を見た後に、動かない線分だけを見てもベクションが生起、維持される現象を発見し、Experimental Brain Research誌に掲載が決定した。 3.Enigma図形を回転させて観察すると、物理的回転とは逆の方向に「流れ」の錯覚が生じ、囲転を止めると、それまでの物理的回転と同方向に「流れ」が生じることを発見した。この「流れ」の方向の残効は、物理的回転に順応する際に相対運動が検出される条件で最大となり、相対運動がない条件で最小となることがわかった。このことから、Enigma錯視は、相対運動検出器の働きと密接に関係しており、その順応と残効により錯視的な「流れ」の方向をコントロール可能であることが明らかになった。現在この現象について論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文出版等の成果が着実に出ていることから、計画の進展は順調と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
ポスドクの雇用、物晶の購入等の点でスタートが遅れたが、研究計画の変更や問題点は特にない。実験機材をほぼそろえることができたことと、24年度からポスドクを雇うことができることから、今後も順調な進展が予想される。
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Research Products
(5 results)