2011 Fiscal Year Annual Research Report
数論における幾何・トポロジーの新展開とアルゴリズム
Project/Area Number |
23244002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 眞 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70231602)
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Keywords | 数論的基本群 / モジュライ / 数論幾何 / アルゴリズム |
Research Abstract |
松本は曲線の基本群に付随するガロア表現と写像類群の表現の比較について、米国Institute of Advanced Studyが主催するPark City数学研究所サマースクールにおいて招待講演を行った。講演内容は講義録として投稿中である(査読あり)。さらに、楕円曲線の普遍族に付随する普遍モノドロミー表現の生成元を決定し、論文を準備中である(R.Hainとの共同研究)。また松本は斎藤睦夫と、べき級数基底簡約を用いて動的に最適化する、グラフィックプロセッサ用疑似乱数発生法MTGPを開発し、ホームページ上で配布開始した。論文は投稿中である。基底簡約を通して、グラフィックプロセッサ用にCUDA社が配布しているCURAND乱数の欠陥を解析し、シドニーでのMCQMC国際学会で発表した。松本・斎藤睦夫・K.Matobaは離散フーリエ変換に基づくQuasi Monte Carlo点集合の高速計算可能な新指標Walsh Figure of Meritを提案し、論文を投稿中である。斎藤秀司はM.Kerzと、コホモロジー論的Hasse原理を示し、論文はPublicationIHESに受理されている。望月は圏論的タイヒミュラー理論の構築を進め、星は双曲曲線におけるガロア表現のモノドロミー充満性について、楕円曲線との違いを際立たせる結果を示している。玉川はM.Saidiと、有限体上の曲線の遠アーベル幾何のHom版をある条件のもとに示した。古庄はEnriqueと、Grothendieck-Teichmuller群の1の冪根版の構成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
松本-Hainによる楕円曲線引く一点の基本群への普遍的Galois表現とモチーフについて、生成元の決定などの進展があった。玉川により数論的基本群の遠アーベル性、ガロア表現の像のuniform boundの研究が進み、星によるモノドロミー充満性問題についてSerreの楕円曲線のTate module表現との違いが明確化された。松本-斎藤睦夫により、幾何的アルズリズムを用いた疑似乱数発生法の設計や、新しく提案されて流布しはじめた発生法の欠陥の解析など、応用方面での進展も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画が順調に進んでおり、A.幾何的トポロジーの手法:基本群やモジュライ空間の幾何を利用した数論幾何・モチーフ理論の展開、B.圏論に基づく数論幾何:幾何的対象やその性質を圏論的データから再構成することにより、スキーム論より大きな数論幾何研究の枠組みを展開、C.数論・代数学における、幾何的アルゴリズムの開発と応用:冪級数体のノルムに関する格子基底縮約アルゴリズムや既約性判定アルゴリズム、の3つの関連分野を中心に研究を発展させる。昨今、研究者に様々な負荷が増しているので、研究時間の確保に努める。
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Research Products
(9 results)