Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 則夫 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (60213287)
大本 亨 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (20264400)
與倉 昭治 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (60182680)
鎌田 聖一 広島大学, 理学研究科, 教授 (60254380)
佐久間 一浩 近畿大学, 理工学部, 教授 (80270362)
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Research Abstract |
写像の特異点論を,大域的観点,幾何構造付きでの観点等の新たな観点から見直し,数上学の現代的潮流の中での特異点論の新たな展開・発展の様々な方向性をさぐることが大きな目的である.そのため平成23年度はまず可微分写像の有限型不変量の定式化をするため,ジェネリックな可微分写像に対するVassiliev型不変量について再定式化を試みた.また,特異Lefschetz束構造の研究を進め,ホモロジー的条件さえ満たせば,どのような1次元部分多様体も特異点集合として実現可能であることを示した.これは既存の特異点理論における特異点集合改変のための手法を応用することにより示された.またLefschetz束とカンドルの間に密接な関係があることも明らかにした.さらに,複素超曲面特異点に付随した結び目の同境について調べ,Brieskorn型多項式で定義される場合,その指数が多くの場合に同境不変となることを初めて示した.これは特異点の同変指数が結び目の同境不変量であることを巧みに利用することによって示した.また,特異多様体の特性類の研究も進め,特にChern-Schwartz-MacPherson classについて詳しく調べた.モチビックHirzebruch classについても調べ,さらにproalgebraic varietiesの特性類と,モチビック測度の関係についても研究した.また,こうした特性類をThom多項式との関連の観点からも研究した.さらに,特異写像の特異点消去を,はめ込み・埋め込みリフトの観点からも研究し,スペシャル・ジェネリック写像についてそうしたリフトが存在するための条件について詳しく調べた.その結果,球面のはめ込みのなす空間のトポロジーが重要な役割を果たすことが明らかとなったが,一方で,それに関連して現れるSmale-Hirsch写像と言われる準同型写像の性質がいまだに明らかにされていないことが分かった.今後はこれをホモトピー論の観点から明らかにしてゆく予定である.なお日仏め若い特異点論研究者を中心に集め,これからの特異点論研究の指針について討論し,今後の世界的なleading research groupの形成を目指すことを主目的とする日仏特異点研究集会を九州で開催し,大きな成功を収めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた研究がほぼ予定通りに進行している.特に,特異点解消の観点から,埋め込み.はめ込みリフトとSmale-Hirsch理論が密接に関連することを明らかにできたことは,今後につながる大きな収穫であった.また,日仏特異点研究集会を開催し,大きな成功を収めたことで,今後の研究の発展への大きな足掛かりを作ることもできた.
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り,多様体の大域的構造と写像の特異点について(特に,可微分構造の「差」の代数的表現について),多様体の同境理論に基づいた有限型不変量・量子不変量の定式化,特異Lefschetz束構造の変形理論,複素超曲面特異点の位相型について,特異多様体の特性類について,特異点・特異ファイバーの消去のためのホモトピー論的障害について,研究を進めてゆく.特に,埋め込み・はめ込みリフトの存在・非存在と可微分構造の差の関係について重点的に研究を進めて行く予定である.また,特異Lefschetz束を用いた4次元多様体の不変量についても,特異点論的観点から研究を進めて行く.
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