2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23244038
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
泉浦 秀行 国立天文台, 岡山天体物理観測所, 准教授 (00211730)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 / 太陽系外惑星系 / 中質量 / 巨星 / ドップラー法 / 褐色矮星 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドップラー法による中質量巨星の惑星系探索を継続した。そのため188cm望遠鏡の観測時間を約70夜確保した。目標の80夜には満たなかったが、観測効率の向上により、前年度までと同等のペースで探索を推し進めることができた。平成26年度はG型巨星HD14067に1455日という長周期で0.54という大離心率軌道にある下限質量7.8木星質量の惑星を、すばる望遠鏡、中国の興隆観測所(2.16m望遠鏡)、岡山天体物理観測所の国際連携により検出した。巨星のまわりに見つかった惑星の中では最も離心率の大きい部類に属する。前年度の結果と合せ、中質量星においても太陽型星と同様、地球軌道よりも外側に大離心率の巨大惑星が存在することを確かなものにした。一方、トルコのトゥビタク国立天文台(1.5m望遠鏡)と岡山天体物理観測所の国際連携により、3つのK0型巨星HD1695、HD120235、HD145316と1つのG7型巨星HD200004に、それぞれ小質量の伴星を検出した。HD120235では離心率が0.83-0.94であり、分光連星としては最も大きい離心率を持つ伴星の一つであることが分かった。 188cm望遠鏡については、平成25年度に、主鏡、副鏡の光学系まで含めるとRMS約10秒角の残留指向誤差があり、その主要因が主鏡セル内の主鏡の位置ズレの非再現性であることを明らかにした。太陽系外惑星系の探索を自動化するには、この残留誤差をRMSで3秒角程度まで低減させる必要がある。そこで平成26年度は、主鏡に由来する残留指向誤差の低減に主眼を置いた。セルに対する主鏡位置を常時精密にモニターし、位置ズレを検出し、位置ズレ由来の指向誤差を補正するという案をまとめ、必要な測定系を設計した。さらに、副鏡を動かし観測装置に望遠鏡の焦点を合わせる作業を、温度環境の情報を用いて自動的に行う機能を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度には、前年度までの作業で観測効率が向上した観測システムを使い、中質量巨星のまわりの惑星系の探索を継続する計画であった。平成26年度に確保できた観測夜数は目標の80夜を下回る約70夜であった。そのため、大幅に探索の速度を増すことはできかったが、観測効率の向上のおかげで、前年度までと同程度の速度では惑星系探索を進めることができた。そして新たな惑星系の検出を報告することができた。惑星系探索は順調に検出を重ねており、研究目的の達成に向け、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も、これまで続けて来た中質量巨星の視線速度モニター観測による惑星系の探索を機能更新された188cm望遠鏡システムで継続・拡張する。そのため年間80夜前後の観測夜数を確保する努力を続ける。Vバンドで7等級より明るいおよそ600星のG,K型巨星の精密視線速度測定を推進するため、観測時間の獲得や融通に努力する。観測時間の確保のためには、積極的な国際協力も進める。得られた成果については社会的に積極的に公表していく。 188cm望遠鏡の観測システムについては、平成25年度に主鏡、副鏡の光学系まで含めるとRMS約10秒角の残留指向誤差があり、その主要因が主鏡セル内の主鏡の位置ズレの非再現性であることが分かった。太陽系外惑星系の探索を自動化するには、この残留誤差をRMSで3秒角程度まで低減させることが必要である。そこで平成26年度に、主鏡のセルに対する位置を常時精密にモニターし、位置ズレを検出し、それにより発生する指向誤差を補正して必要な指向精度を達成するという具体的方策を設計した。そこで平成27年度には、188cm望遠鏡の残留指向誤差の補正機構を組み込み、全体的な指向精度を必要な値まで小さくすることに取り組む。それにより系外惑星系探索の自動化率を格段に向上させ、より多くのデータ獲得を進める。また、一層の省力化を進めてデータ解析への集中度をより高められるようにする。それらにより研究成果の増大を図る。
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[Journal Article] Low mass stellar companions around four giant stars2015
Author(s)
Yilmaz, M. ; Bikmaev, I. ; Sato, B. ; Selam, S. O. ; Galeev, A. I. ; Keskin, V. ; Izumiura, H. ; Irtuganov, E. N. ; Kambe, E. ; Ozavci, I. ; Melnikov, S. S. ; Zhuchkov, R. Ya. ; Okada, N.
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Journal Title
New Astronomy
Volume: 34
Pages: 108-113
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A long-period eccentric substellar companion to the evolved intermediate-mass star HD 140672014
Author(s)
Wang, Liang; Sato, Bun'ei; Omiya, Masashi; Harakawa, Hiroki; Liu, Yujuan; Song, Nan; He, Wei; Wu, Xiaoshu; Izumiura, Hideyuki; Kambe, Eiji; Takeda, Yoichi; Yoshida, Michitoshi; Itoh, Yoichi; Ando, Hiroyasu; Kokubo, Eiichiro; Ida, Shigeru; Zhao, Gang,
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Journal Title
PASJ
Volume: 66
Pages: id.1189
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant