2012 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパー核ガンマ線分光法を用いた核内ラムダ粒子の磁気モーメントの研究
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23244043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 裕和 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10192642)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 実験核物理 / ハイパー核 / ガンマ線 / ラムダ粒子 / 磁気モーメント / Λ粒子 / ハイペロン |
Research Abstract |
H24年度3月からビームタイムが割当てられたJ-PARC E13実験に向け、東北大学にてHyperball-Jを架台に組み込む試験と、線源による全体の性能試験を行ったが、Ge検出器とPWOカウンターの性能はほぼ予想(simulation)通りであった。その後6月にJ-PARC K1.1BRラインに2組のGe検出器とPWOカウンターを設置して、本番と同じ中間子ビームを用いてテスト実験を行ったところ、Ge検出器の検出効率と分解能の大強度ビームに対する性能は、過去の経験から予想される性能を若干上回った。PWOカウンターの性能も良好であった。 夏にHyperball-Jを分解して東北大からJ-PARCハドロン施設に移動し、実験を行うK1.8ラインの標的位置に組み上げた。高圧線、信号線、冷却ライン等を配線・配管し、回路系、データ収集系を構築した。その後全体の動作確認テストを行った。 K1.8/SKS磁気スペクトロメータの検出器については、E13実験に合わせた設置位置の変更や調整、動作確認を行った。また、K1.8ライン上流と標的直後の位置検出器として、東北大で開発したシンチレーティングファイバー飛跡検出器を設置し、12~1月のK1.8ラインの実験(E10)において性能を調べ、従来の5~10倍の大強度ビーム中で動作することが分かった。 昨年度製作した液体ヘリウム標的の動作試験を行い良好な結果を得た。またテフロン製フッ化水素標的容器を製作した。 E13前半のビームタイムでは、3月にK1.8ラインのK-ビーム調整を行い、ほぼ予想通りの強度が得られた。また、実験に用いるすべての検出器をテストし、並行してデータ解析用プログラムを開発した。 ビーム強度アップに備えたGe検出器の高計数読出し回路系の開発では、信号前段処理回路の試作品のテスト実験を行い、改良すれば実用化できる見込みが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
E13実験のビームタイムが震災により遅れたスケジュールで決定したこともあって、実験準備は問題なく進み、検出器の設置や性能テストなどは十分詳しく行うことができ、それらの結果も満足のいくものであった。標的製作も順調に行われた。H24年度は計画通り順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
E13実験のビームタイムの前半部分は、H25年4~6月に実施される。ここで良いデータをとれるよう最新の注意を払って検出器の最終動作確認とデータ収集を行い、速やかなデータ解析を並行して進めることによって、目的のハイパー核ガンマ線が観測できたかどうかをできるだけリアルタイムで確認するようにしたい。その後は、H25年度2月から新しいK1.1ラインで行われることとなったE13後半のビームタイムに向けて、SKSスペクトロメータ系の引っ越しや新たなビームライン検出器と回路系の整備に集中することとする。
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Research Products
(14 results)