2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパー核ガンマ線分光法を用いた核内ラムダ粒子の磁気モーメントの研究
Project/Area Number |
23244043
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 裕和 東北大学, 理学研究科, 教授 (10192642)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 実験核物理 / ハイパー核 / ガンマ線分光 / Λ粒子 / 磁気モーメント / ハイペロン / J-PARC / 媒質効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
H25年4月よりJ-PARC E13実験の最終調整とビームを用いたコミッショニングを行った。 K-ビームの調整を行い、十分な強度とK/π比が得られた。また、ビームラインや磁気スペクトロメータのすべての検出器の性能を実際のK中間子ビームで調べて確認し、炭素標的を用いた(K-,π-)反応のテスト的なデータを取ったところ、スペクトロメータの性能(質量分解能や検出効率)が十分良いことが確かめられた。さらに、ガンマ線検出器Hyperball-Jのメンテナンスと最終テストを行い、実際のK中間子ビームでデータをとり、検出効率やビームオンでの分解能などの性能が十分であることを確かめた。 本番のデータをとる準備がほぼ整った5月23日に、ハドロン施設の放射能漏洩事故が発生し、ビームが停止し、長期にわたり実験が中断することとなった。そこで、テスト的に収集したデータから、1.8 GeV/c, 1.5 GeV/cでの(K-,π-)反応による陽子からのΣ+粒子の生成断面積、およびこれらの運動量での12C(K-,π-)反応でのハイパー核12ΛCの生成スペクトルを求めて、学会で発表した。これらは新しいデータであり、今後のハイパー核研究にとって有用なものとなる。さらに、安全なフッ化水素標的の開発を進めた。 ビーム強度アップに備えたGe検出器の高計数読出し回路系の開発では、試作した信号前段処理回路を改良し、さらにこれをアルゴンヌ研究所製の波形デジタイザ回路に接続して、ガンマ線エネルギーの分解能悪化などの実用上の問題点を洗い出し、実装を改良するなどして一層の性能向上に取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
J-PARCハドロン施設の事故により、J-PARC E13実験のデータ収集が遅れてしまったが、ビーム再開を待つ間に、テスト的に収集したデータの解析を進めて物理の結果を出したり、読み出し回路の開発を進めたりした。遅れはあるものの、本課題全体への影響は大きくはないと考えている。E13実験の検出器の性能はすべて確かめられているため、ビームが再開すれば直ちにデータを収集できることとなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ビーム再開に時間がかかることを想定して、テストデータの解析結果や、検出器開発に関する成果を論文にまとめて発表することとしたい。また、Hyperball-JをはじめとするE13実験用の検出器系について、メンテナンスを十分に行うとともに、解析プログラムを完成させておき、ビーム再開後に直ちに結果が出せるようにしておつもりである。
|
Research Products
(14 results)