2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23244049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 孝治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20201379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 則孝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任准教授 (30419254)
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Keywords | 原子核構造 / 殻模型 / 核力 / 平均場模型 / 不安定核 |
Research Abstract |
陽子と中性子からなる量子多体系としての原子核の構造解明は、非摂動性や3体力など、核力に特徴的で取扱いが難しい性質により、特に相互作用において現象論的な要素が強かった。それが近年、核力とその効果の理解が色々な面で進み、状況が変わりつつある。本研究計画では、これまでよりも核力に忠実な有効相互作用を用いた精密計算を目指す。 通常の物質を構成し、寿命が無限か十分に長い原子核を安定核と呼び、そうでない短寿命の原子核を不安定核(エキゾチック核)という。後者では陽子数と中性子数のバランスが崩れ、特に中性子過剰不安定核では中性子数が陽子数の3倍にも達する。そのような原子核では、殻構造や魔法数の変化(殻進化とまとめて呼ぶ)が起こり、その起源は有効核力の中のモノポール成分によることが代表者らのグループによって明らかにされてきた。モノポール成分の主要な項は、陽子-中性子間の核力の場合は中心力とテンソル力であり、中性子-中性子間、陽子-陽子間の場合には、中心力の他に3体力起源の有効2体力が効いている。本年度の研究の成果の一つは、テンソル力は繰りこみの影響をほとんど受けないことを示したことである。これによって、従来の研究に一層の確実さが増すとともに、今後の平均場計算にも有用となる。3体力の効果についても引き続き検討を加え、藤田-宮沢力と有効場の理論からの3体力の間の違いについても調べた。 研究の推進のために、大型殻模型計算に適した特殊な構成の並列計算機システムを導入した。それにより、中重核領域の原子核の大型殻模型計算を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災により予算執行が予定通りに実行できない可能性が年度当初に言われ、又、タイの洪水の影響ハードディスクの供給が滞ったために、並列計算機の納入時期が後ろにずれこんでしまったために、当初の計画以上に進展させることは難しくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、導入された並列計算機を用いて、研究を推進させる。広く、国内外との交流に努める。
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Research Products
(26 results)