2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23244049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 孝治 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20201379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 則孝 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30419254)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 原子核構造 / エキゾチック原子核 / 核力 / 殻進化 / 魔法数 / 放射性廃棄物 / 二重ベータ崩壊 / RIビーム |
Research Abstract |
本研究計画の目的に沿って、殻模型のハミルトニアン行列の直接対角化による大規模殻模型計算のコードの開発を進めた。また、それと並行して様々な大規模数値計算を実行した。シリコン、及び、硫黄の中性子過剰なエキゾチック原子核における変形の特異な出現を論文にまとめて Physical Review C rapid communications 誌に出版した。そこでは、テンソル力の表れ方を様々な角度から検討し、特に中性子数が陽子数の2倍となるシリコン42 原子核では、テンソル力のために殻構造が変化して、オブレート変形(鏡餅型変形)した基底状態が出現し、二重閉殻でありながら球形にならない事が示された。これに関しては、最近、我が国の理研 RIBF 加速器によって2+, 4+励起状態のエネルギーレベルが測定され、予言とよく一致したので信憑性が増している。オブレート変形が現れやすくなる理由も発見し、陽子が2個多い硫黄の原子核では、そのまさに余分な2個の陽子のために、この傾向が大きく変わり、全体的にプロレート変形の傾向を持つようになる。これにもテンソル力の効果が大きい。さらに、コード開発の努力により、質量数100程度までの原子核の計算が、それ程には困難なく実行できるようになる見通しがついてきた。なお、平成24年度に開催した国際研究集会「核子に基づくエキゾチック原子核構造」の講演発表報告集の作成と送付を平成25年度に行った。この集会は、この研究計画が関わる分野の現状をまとめ、将来を展望する重要な会議であり、多くの外国人研究者も参加した。また、平成24年度に計画されながら、種々の事情で実現できなかった海外での研究打ち合わせを行い、本研究計画の推進に役立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
原子核構造に於いて、大きな課題であった形の共存現象において、テンソル力との関連性が初めて見えてきた。これはかって指摘されたことのない大きな成果である。また、殻模型波動関数を平均場近似の内部固有波動関数の観点から解析する方法を、エキゾチック原子核の形や魔法数の現れ方の研究に具体的に応用した。それらについて議論した第一報の論文が本研究課題の繰り越し期間中である平成25年9月に投稿されている。それはその後に、国際学術誌 Physical Review C に掲載された。これ以外にも、当初予定の研究は着実に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
上の項目で述べた、形の共存現象を殻進化の一部とするより大きな構想を進める。それを、原子核の殻模型や平均場模型と相転移を結びつける理論として発展させていきたい。社会的応用に関しては、ガモフテラー型のみならず、禁止遷移についてもベータ崩壊についての研究を進めて、半減期計算へ向けての準備とする。
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