2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23244049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 孝治 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20201379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 則孝 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30419254)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 原子核構造 / 殻模型 / エキゾチック原子核 / 殻進化 / 核力 / 魔法数 / カルシウム原子核 / 核変換 |
Research Abstract |
カルシウム54原子核の構造に関する研究を行い、その成果は論文としてNature 誌に掲載された。本研究計画の代表者である大塚は2001年に魔法数34の存在を理論的に予言していた。それの実験的検証は10年以上に渡って世界の様々な研究機関によって試みられてきたが全て失敗し、予言そのものの信憑性が疑われる事さえ起こるようになった。最近、理化学研究所の新鋭重イオン加速器RIBFによってそれが実験的に検証された。この事は本研究計画の基盤をさらに強化するものである。又、その研究においても、実験データの理論解析などに貢献した。 カルシウム同位体の電気的双極子励起の計算を、直接対角化殻模型計算によって行った。超並列計算機を活用しての超大型計算を可能にする新しいアルゴリズムとコードによって実現された。従来の平均場計算と同じ水準の結果がカルシウム同位体に大して出せており、平均場計算が難しい場合への適用などに威力を発揮するようになる。 ニッケル、銅、コバルトなどの同位体で中性子過剰エキゾチック原子核についての研究が大幅に進んだ。特に、平均場模型で使われるポテンシャルエネルギー面にモンテカルロ殻模型の波動関数をプロットする研究が大きく進展した。変形の局所的エネルギー極小点の解明のみならず、閉殻からのゆらぎや3軸非対称変形へむけてのゆらぎなどを含めて様々な場合に適用して多くの知見を得た。 二重ベータ崩壊の研究もカルシウム48原子核などで進展している。原子力工学に関係する研究では、半減期の計算に加えて、放射性廃棄物の消滅処理に向けての核変換へ向けての研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
魔法数34の確立は大きな学術的成果である。原子核構造における相転移現象、特に、臨界点やそれに関わる揺らぎについての新しい知見が核力との関連で得られた。長年の課題であったので、これの科学的な意味は大きいと考えられる。これを第2種殻進化とも呼んでいる。この解析には、殻模型と平均場模型の両者を結合させるアイデアが重要であり、本研究課題の趣旨ともよく合っている。比較的重い原子核の通常の殻模型計算を大きなスケールで行い始めており、これは本研究課題の柱である社会的貢献に向けての方法論が、実行可能であることの検証にもなった。電磁モーメントの計算、荷電交換反応の研究、及び、原子力工学関係の半減期計算や核変換用データ取得に向けての研究も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
質量数が100くらいまでの原子核についての計算を超大型の直接対角化計算でさらに進める。特に質量数130あたりの閉殻に近いものについては、放射性廃棄物の半減期計算や消滅処理との関連があり、実行可能になったので重点的に行う。二重ベータ崩壊によるニュートリノ質量の決定のための核行列要素の計算はさらに強力に進める。原子核における相転移との関連では、モンテカルロ殻模型で発展した波動関数解析方法を適用して、エキゾチック原子核におけるテンソル力効果に着目しつつ、さらに広い視野から推進する。
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