2011 Fiscal Year Annual Research Report
LHC超前方測定による宇宙線シャワーとハドロン散乱の包括的解明
Project/Area Number |
23244050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 好孝 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (50272521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 公明 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40173744)
さこ 隆志 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (90324368)
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Keywords | 宇宙線 / 加速器実験 / 高エネルギー物理学 / 実験核物理 / 国際研究者交流 / CERN / LHC / ハドロン物理 |
Research Abstract |
本研究の当該年度に予定されていたCERNでのビームテストの遅れにに伴って作業スケジュールの組みなおし行い、GSO結晶シンチレーター層とGSOシンチレーターバーの開発に充分な期間をかけた。GSOシンチレーターについては、HIMAC加速器を用いて放射線耐性について確認を行なった後、実際にクォーツ製ライドガイドを含めたシンチレーター層の実機を製作し、HIMAC加速器で重イオンビームを照射して光量の位置依存性を詳しく調べ、集光効率マップを作成した。また、GSOシンチレーターバーについても実機を製作し、重イオンビームを照射して光量やクロストークについて測定を行なった。 また、実際にタングステンプレートと重ね合わせてGSOシンチレーターを用いたArm1検出器を製作し、2012年8月にCERNSPSでのテストビーム照射を行なった。これらの結果を解析し、光量の位置依存性のほか、エネルギースケールの温度依存性データ等を取得した。上記の研究成果の一部はすでに論文として出版されたほか、博士論文や修士論文の主要部分となる予定である。 Arm2検出器で位置検出層として4層挿入されているシリコン飛跡検出器の挿入位置を最適化し、電磁シャワー検出能力を最大にするシミュレーション研究を行なった。これまでの設定では電磁シャワーの届かないカロリメーター下流に2層が配置されていたが、これを均等に配置する事で位置分解能等を向上できることがわかった。また、13TeV衝突で予想される高エネルギーガンマ線の電磁シャワーによりシリコン検出器での電荷量が飽和する事を防ぐために、新しい電荷読み出し法を考案し、2012年8月のSPSでのビームテストにより実際に動作する事を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度にCERN側のビーム実験スケジュールの調整により予定されていたSPSでのテストビーム実験が延期されていたが、H24年8月に繰越予算を用いて無事SPSでのテストビーム照射を実施する事が出来、Arm1検出器については実際に解体・GSOシンチレーターへの交換作業を行なって、GSOシンチレーターを用いた検出器が予定通りの性能を発揮する事がおおむね確かめられた。一方、当初の予定では、Arm2検出器についても解体しGSOシンチレーターへの交換を行なう予定であったが、2013年1月にLHCで陽子-鉛衝突が行なわれることがわかったため、急遽Arm2検出器の解体を見送り、現存のまま測定に利用する事になった。このため、Arm2検出器のアップグレード作業は2013年以降に行なわれることなった。したがって当初計画のように、2012年のCERN SPSでのテストビームで、両検出器のビーム較正を行って、最終較正としてエネルギースケールを決定するところまでは出来なかった。最終較正作業は2014年10月に予想されるLHCシャットダウン明けの初めてのSPSビームタイムに申請中で、ここまで両検出器のアップグレード作業を完了させることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
GSOシンチレーターを用いた検出器のアップグレード作業に目処がついたところで、これからはLHC13TeV衝突ランをにらんで、具体作業を煮詰めて実作業のスケジュールを組んでいく。2013年度にはArm2検出器の解体作業とシリコン検出器基盤の入れ替え、またArm1検出器で使用しているSciFI層読み出し用エレクトロニクスの故障チャンネルの修理など、細かい点の詰めを行ない、来年後半までにアップグレード作業を完了させる。
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Research Products
(3 results)