2011 Fiscal Year Annual Research Report
実用的ソフトマター材料設計への粗視化シミュレーションの応用
Project/Area Number |
23244087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 量一 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 貴志 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60293669)
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Keywords | 計算科学 / 計算物理 / 化学物理 / 統計力学 / 高分子構造・物性 |
Research Abstract |
本研究では、シミュレーションによる実用的なソフトマターの材料・プロセス設計を想定し、我々自身がこれまで開発してきた各種シミュレーション手法を発展させて、いくつかの具体的問題の解決に取り組んでいる。いずれも流体や分散粒子や外力といった複数の自由度が連成する複雑な状況であり、境界条件の設定など自由度間の適切な結合が本質的に重要である。有効な材料・プロセス設計を行うためには物質のミクロな性質とメソスケールの構造との関係を理解し、制御することが必要である。 新しい液晶ディスプレイやフォトニックデバイスの材料として期待されている液晶とコロイド粒子の複合物質について、実験とまるごとシミュレーションとを連携し、実験データと比較することによって定量的に粗視化モデルの妥当性を検証する。平成23年度は、実験とシミュレーションとを連携することによって定量的に粗視化モデルの妥当性を検証し、以下の結果を得た。 1.周期境界条件下でせん断流動場を加えることが出来るようにコロイドシミュレータを拡張した。そのシミュレータを用いて鎖状粒子分散系のレオロジー特性について詳細なシミュレーションを行い、理論的な予測や実験データと定量的な比較を行い、計算モデルの妥当性を確認した。 2.溶媒の圧縮性を考慮した計算が出来るようにコロイドシミュレータを拡張した。そのシミュレータを用いて、圧縮性溶媒中の分散粒子の動的性質を計算し、理論的な予測や実験データと定量的な比較を行い、計算モデルの妥当性を確認した。 3.自己推進粒子を含むアクティブソフトマテリアルに適用すべく、粗視化モデルの検討とコロイドシミュレータの拡張を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
京都大学における夏季及び冬期の節電対策のため、平成23年度中に導入しても運転する目処が立たない装置(24時間運転で電力消費量の激しいクラスター計算機と大容量RAID装置)の導入を半年延期し、平成24年度により高性能で省電力のの装置を導入することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の実施において、大型計算機を常時稼働し、長時間にわたるシミュレーションを実行することが不可欠である。平成24年度以降も節電要請が継続するのは確実な情勢であるため、性能とエネルギー効率にすぐれた新型の計算機を導入する方が実働総計算量で有利である。従来型に比べてエネルギー効率に優れた計算機の開発が進んでおり、平成24年度早々に発売となる。使用開始は遅れても、夏季に予測される節電対応を考慮すると、新型を導入した方がのべ計算時間をより多く確保できる見込みである。
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Research Products
(7 results)