2011 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザーLIBSによる高温高圧その場組成分析法の開発
Project/Area Number |
23244104
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
神崎 正美 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 教授 (90234153)
|
Keywords | 化学分析 / 分光 / その場測定 / 高温高圧実験 / ダイヤモンドアンビル / 地殻流体 / LIBS / 元素分配 |
Research Abstract |
初年度に当たる本年度はレーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)装置の測定系の自作を予定していたが、主要な装置(レーザー、分光器、検出器)の納品に時間がかかり、LIBS装置の構築はまだ出来ていない。一方、本研究での測定条件(高温高圧状態)を実現するために、水熱ダイヤモンドアンビルセル(HDAC)装置をコーネル大学名誉教授のBill Bassett博士より購入した。この装置ではダイヤモンドアンビルの周りにヒーターがあり、それで加熱するが、このヒーター用の加熱コントローラー(2系統必要)を自作した。また、高温高圧下の試料の状態をその場で観察するために、新たに専用の実体顕微鏡を導入し、また動画で試料と温度などを同時に記録できるようにカメラ等の整備を行なった。これらにより高温高圧実験が出来るようになり、本研究の主対象の地殻流体のみならず、広く高温高圧その場観察が行えるようになった。高温高圧条件下での圧力測定は難しい問題であるが、本研究ではダイヤモンドアンビルの先端(キュレット面)のダイヤモンドのラマンシフトから推定する方法を考案した。温度自体はアンビルに接触させている熱電対から直接測定できるため、温度効果を補正したラマンシフトから圧力を推定できる。ただし、そのためにはキュレット面近傍のみのラマン散乱を得ることが必要であるので、既存の顕微ラマン分光法装置をそれに合わせて改造したり、対面のキュレット側で測定を行なうなどの新しい方法を考案した。この圧力測定法は、特殊な同位体濃縮試料や放射光を必要としないため、HDACを使った様々な実験で広く利用でき、本研究の成果の1つである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レーザー装置、分光装置等の主要装置の納品が年度末になってしまったため、それらを使って予定していた予備実験が予定よりも遅れている。水熱ダイヤモンドアンビルセル高圧装置の方の準備は予定どおり進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずレーザー装置および分光法装置等でプラズマ分析の測定系を組み上げ、それを使った常圧下での水溶液の予備測定を行なう。そこで光学系等を最適化し、水溶液中の元素を分析できるところまで持って行く。その後、水熱ダイヤモンドアンビルセル高圧装置中の水溶液試料を測定することを試みる。ここが本研究の最大の難関であるので、プラズマが生成し、かつダイヤモンドがダメージを受けない条件を求める。これが成功すれば、ケイ酸塩と水を試料として、ケイ酸塩メルト(または結晶)と共存するフルイドの化学組成を温度圧力の関数として求める。
|
Research Products
(5 results)