2012 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザーLIBSによる高温高圧その場組成分析法の開発
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23244104
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
神崎 正美 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 教授 (90234153)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 地殻流体 / マグマ / プラズマ発光分光 / 高圧その場測定 / ダイヤモンドアンビル / 元素分配 |
Research Abstract |
本研究では高温高圧下の試料にパルスレーザーを集光し、プラズマ化させ、原子へ戻る際の発光スペクトルを分光器で取得し、化学組成の情報を得る。そのため、高温高圧発生する装置と分光システムの2つを主に整備する必要があり、今年度は前者の整備が完了した。 本研究では試料を高温高圧状態に保持するために「水熱ダイヤモンドアンビルセル(HDAC)」を使っている。昨年度は一応の性能テストが出来るようにはなっていたが、高温高圧その場観察のための光学系、加熱のための電源系、冷却法、ラマン分光法への組み込み等を整備し、数GPa, 摂氏800 C(最大1000 C)まで安定して実験ができるようにした。最初に自作した電源は過熱しやすく、その後デジタルDC電源に変更して安定して加熱できるようになった。高温高圧下の試料の状態は分光測定中以外はパソコン画面上でモニターでき、動画で記録をとることができるようにした。また、いくつかの酸化物や水酸化物を実際に加圧・加熱して試験を行った。その中の1つのB(OH)3の実験では、B(OH)3からBOOHへの脱水、さらに高温でのBOOHからB2O3への脱水、さらに高温では水へB2O3が溶け込んで流体1相のみとなる変化が明瞭に観察された。冷却時にはB2O3と見られる単結晶が流体から成長する様子が見られ、低温では水酸化反応が生じた。この系は非常に面白く、既存の研究もないので、この観察結果を論文としてまとめる予定である。現在そのような流体の構造を知るためと、共存する結晶の同定のために顕微ラマン分光法と組み合わせた測定も行っている。これらによってHDAC側の整備は完了することができた。 分光システムの方は、整備が予定より遅れており、テスト光を使った分光測定ができるようになったところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分光システム側の整備が当初予定より遅れている。 この理由は、予想外に中国から委託されている博士課程学生の指導、また論文作成に時間を取られたことがある。また、この分光システムでは時分割測定と特殊な分光器の使用が必須となるが、ラマン分光等の時分割を必要としない測定には十分な経験があるが、時分割測定や特殊な分光器は初めての経験であり、少し手こずったところがあり、その分でも時間が取られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度であるので、まず分光システムを前半には完成させる。そして、実際の地球科学的に重要な系における流体組成の決定、分配係数の決定を行い、沈み込むスラブなどでの化学的進化を解明に寄与できるデータを取得することを目指す。 昨年度の遅れの原因であった委託学生の方は終了したので、平成25年度はより時間をかけて推進することができる。さらに、毎年夏に6週間受け入れているインターン学生の研究課題として本研究の一部を実施してもらうこと、及びスーパーテクニシャン(所属センターの制度)の協力を得ることで当初の計画通りに完了するように努める。
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Research Products
(13 results)