2012 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃圧縮を用いた軽元素物質の金属化、圧力スケールの解明と地球惑星内部研究への応用
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23244106
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
真下 茂 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 教授 (90128314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 宗明 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 准教授 (10181322)
渋谷 秀敏 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30170921)
下條 冬樹 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60253027)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 衝撃圧縮 / 超高圧 / 状態方程式 / 金属化 / 圧力スケール / 地球 / 惑星 |
Research Abstract |
本研究は衝撃銃を用いて圧力スケール物質の常温・高温出発のユゴニオと軽元素物質の衝撃圧縮下の電気抵抗の計測を行い、地球内部構造の境界問題と太陽系外惑星の内部構造、惑星磁場を探ろうとするものである。 平成24年度は、一段式火薬銃と二段式軽ガス銃と組み合わせた高速流しカメラシステムによって銅、タングステンに続いて金、白金、銀の常温出発のユゴニオを200 GPa以上まで精密に測定した。一段式火薬銃に高周波加熱装置を組み合わせてタングステンに続いて金で出発状態が700℃のユゴニオ(75 GPaまで)を流しカメラシステムによって世界で初めて計測した。タングステンについて、レーザー速度干渉計(VISAR)によって室温出発と高温出発の粒子速度履歴を計測し、タングステンの強度を補正して室温の静水圧縮曲線を導き、グリューナイゼン定数と状態方程式を直接議論した。また、銅について強度を補正して状態方程式を議論した。MgOの塑性域のユゴニオを確定するために、VISARを用いて<100>と<110>方向の粒子速度履歴を測定し、異方的な弾性限界を明らかにした。 水の多重衝撃圧縮によって温度を押さえて電気抵抗を測定するために、60 GPaまでサファイアの2倍の衝撃インピーダンスを持つCVDダイヤモンドのユゴニオを計測した。常温での水の電気抵抗を測定するためのCVDダイヤモンドを用いたアセンブリーを設計した。アンモニア、メタン、水素などの電気抵抗測定に備えて、将来、20 Kまで試料を冷却して実験が行えるように、観測室を設計・製作し、クライオスタットを設計し、ヘリウムを用いた冷却機を購入した。 また、金属の状態方程式、軽元素物質の電気抵抗測定の研究では温度を測定することが極めて重要であるが、2000 Kまで測定可能な8チャンネルと1000 Kまで測定可能な2チャンネルの輻射温度計を設計・製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに金、白金、銀、タングステン、銅などの常温出発のユゴニオ計測を計画どおり修了し、タングステン、金について高温出発のユゴニオの計測に世界で初めて成功した。レーザ速度干渉計による粒子速度履歴の測定技術を確立し、タングステンの弾性限界を測定した。これらの実験によって新しい圧力スケール確立のメドを立てた。レーザー速度干渉計を用いてMgOの粒子速度履歴を測定し、これまでの高速流しカメラシステムをよって計測した結果とを用いてMgOのユゴニオを確定するメドを立てた。圧力スケールの確立は長年超高圧研究の大きな課題で、歴史的なロスアラモスデータを基本にしたスケールを更新するためには、金属の膨大なユゴニオデータと強度の測定、グリューナイゼン定数を求めるために高温出発のユゴニオなど膨大な実験が必要であるが、これまでに80%程度完了させることがきた。電気抵抗測定のアンビル材料に期待されるBi12SiO20(BSO)に続いて、CVDダイヤモンドのユゴニオを計測した。水などの電気抵抗のアセンブリーを設計し、メタン、水素のための観測室(クライオスタット付き)を設計・製作を行い、冷却機を購入した。二段式軽ガス銃の推進ガスに水素を使うためと水素の電気伝導測定のために実験室に水素排気系の整備を進めた。水素の金属化は超高圧研究のシンボル的課題で、電気抵抗の測定のためにはアンビル材料の開発、極低温下の抵抗測定など難題が多く、極めてチャレンジングな研究である。また、温度測定のための輻射温度計(パイロメータ)を設計・製作した。
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Strategy for Future Research Activity |
二段式軽ガス銃で5 km/s以上の飛翔体速度を達成するために推進ガスに水素が使えるようにするためと、将来、水素の電気抵抗の測定実験を行うために、実験室に水素の排気、探知、電気系統の防爆化を完成させる。金に続いて白金などについて高温出発のユゴニオ計測と高温での弾性限界測定の実験を行い、グリューナイゼン係数と状態方程式を確定し、圧力スケールを完成させる。それを用いて地球内部の境界問題を新しい観点から議論する。水の金属化や超イオン伝導状態を探るために、一段式火薬銃でアンビルにH24年度にユゴニオを測定したCVDダイヤモンドを用いて電気抵抗を四端子法で60 GPa以上まで計測する。つぎに、二段式軽ガス銃でアンビルにGd3Ga5O12(GGG)などを用いて極低温下で液体状態のメタン、水素などの電気抵抗の計測を推進する。また、パイロメータを用いて金属、MgO、水などの衝撃圧縮下の温度を測定し、状態方程式の精度を深めたり、多重衝撃波の効果を調べる。電気抵抗の測定から軽元素物質の状態図を明きらかにし、それによって天王星、海王星、木星、土星などの内部構造と惑星磁場の成因を議論する計画である。
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[Journal Article] Simultaneous Observation of the Electron Acceleration and Ion Deceleration over Lunar Magnetic Anomalies2012
Author(s)
Saito, Y., Nishino, M. N., Fujimoto, M., Yamamoto, T., Yokota, S., Tsunakawa, H., Shibuya, H., Matsushima, M., Shimizu, H. and Takahashi, F.
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Journal Title
Earth Planets & Space
Volume: 64
Pages: 83-92
DOI
Peer Reviewed
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