2013 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃圧縮を用いた軽元素物質の金属化、圧力スケールの解明と地球惑星内部研究への応用
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23244106
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
真下 茂 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 教授 (90128314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 宗明 熊本大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10181322)
渋谷 秀敏 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30170921)
下條 冬樹 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60253027)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 衝撃圧縮 / 超高圧 / 状態方程式 / 金属化 / 圧力スケール / 地球 / 惑星 |
Research Abstract |
本研究は衝撃銃を用いて圧力スケール物質の常温・高温出発のユゴニオと軽元素物質の衝撃圧縮下の電気抵抗の計測を行い、地球内部の境界問題と太陽系外惑星の内部構造、惑星磁場の成因を探ろうとするものである 平成25年度は、一段式火薬銃と二段式軽ガス銃と組み合わせた高速流しカメラシステムによって24年度の銅、タングステン,金に続いて白金、銀の常温出発のユゴニオを200 GPa以上まで測定した。一段式火薬銃に高周波加熱装置を組み合わせて、24年度のタングステン、金の予備実験に引き続いて、タングステンと銅で出発状態が800℃と400℃のユゴニオを流しカメラシステムによって高精度に計測した。また、24年度のタングステンに続いて金について、VISARによって粒子速度履歴を計測し、強度を補正して室温の静水圧縮曲線を導き、グリューナイゼン定数を直接議論した。MgOの塑性域のユゴニオを確定するために、VISARを用いて<100>と<110>方向の粒子速度履歴を35GPaまで測定し、<110>方向で三波構造の弾ー塑性転移など異方的な弾性限界を明らかにした。また、長距離望遠鏡、電子式駒撮りカメラを用いて、衝撃圧縮下の滑り面を世界で初めて観察した。 水の多重衝撃圧縮によって温度を押さえて電気抵抗を測定するために、24年度に引き続いて100 GPa程度までサファイアの2倍の衝撃インピーダンスを持つCVDダイヤモンドのユゴニオを計測した。常温での水の電気抵抗を測定するためのCVDダイヤモンドを用いたアセンブリーを設計した。メタン、水素などの電気抵抗測定に備えて、将来、20 Kまで試料を冷却して実験が行えるように、観測室を製作、クライオスタットを設計し、ヘリウムを用いた冷却機を整備した。 また、二段式軽ガス銃の駆動がスに水素を使うためと水素の電気抵抗測定に向けて安全性確保のために防爆型換気扇を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに金、タングステン、銅などの常温出発のユゴニオ計測を計画どおり修了し、タングステン、金に加えて、銅について高温出発のユゴニオの計測に世界で初めて成功している。レーザー速度干渉計による粒子速度履歴の測定技術を確立し、タングステン、金の弾性限界を測定した。これらの実験によって新しい圧力スケール確立のメドを立てた。MgOのユゴニオを確定するために、レーザー速度干渉計を用いて粒子速度履歴を測定し、異方的な弾-塑性転移を明らかにした。圧力スケールの確立は長年超高圧研究の大きな課題で、歴史的なロスアラモスデータを基本にしたスケールを更新するためには、様々な金属の膨大なユゴニオデータと強度の測定、さらに、グリューナイゼン定数を求めるために高温出発のユゴニオなど膨大な実験が必要であるが、これまでに基本的には80%程度完了させることができたと考えている。 電気抵抗測定のアンビル材料に期待されるBi12SiO20(BSO)と、水の電気抵抗に使うCVDダイヤモンドのユゴニオをほぼ完成させた。水の電気抵抗のアセンブリーを設計し、コンデンサー放電法の電気回路をチェックした。メタン、水素の電気抵抗測定ために観測室を製作し、クライオスタットを設計した。二段式軽ガス銃の推進ガスに水素を使うためと水素の電気抵抗測定のための安全対策として実験室に水素排気系の整備をほぼ終えた。水素の金属化は超高圧研究のシンボル的課題で、電気抵抗の測定のためにはアンビル材料の開発、極低温下の抵抗測定など難題が多く、極めてチャレンジングな研究であるが、周到な準備が必要である。また、二段式ガス銃のランチャーが古くなりトラブルが生じたことと、水素の排気装置の製作に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
二段式軽ガス銃で5 km/s以上の飛翔体速度を達成すべく水素を使えるようにするためと,水素の電気抵抗の測定実験のために、水素使用の安全対策の安全対策として排気系の整備は終わっているので、実験室に防爆型水銀灯、水素センサーを整備する。白金、MgOのユゴニオを完成させ,銀,タンタルでは対称衝突によるユゴニオの計測を新たに行う。タングステンに引き続いて金、銅、白金、銀などについて高温出発のユゴニオ計測と高温での弾性限界測定の実験を行い、グルーナイゼン係数と状態方程式を確定し,金、白金、MgO圧力スケールとルビースケールを完成させる。それを用いて地球内部の境界問題を新しい観点から議論する。 水の金属化や超イオン伝導状態を探るために、一段式火薬銃でアンビルにH24年度にユゴニオを測定したCVDダイヤモンドを用いて電気抵抗を四端子法で60 GPa以上まで計測する。つぎに、二段式軽ガス銃でアンビルにGd3Ga5O12(GGG)などを用いて極低温下で液体状態のメタン、水素などの電気抵抗の計測を推進する。また、パイロメータを用いて金属、MgO、水などの衝撃圧縮下の温度を測定し、状態方程式の議論を深めたり、多重衝撃波の効果を調べる。電気抵抗の測定から軽元素物質の状態図を明きらかにし、それによって天王星、海王星、木星、土星などの内部構造と惑星磁場の成因を議論する計画である
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[Journal Article] Small-scale magnetic fields on the lunar surface inferred from plasma sheet electrons2013
Author(s)
Harada, Y., Machida, S., Saito, Y, Yokota, S., Asamura, K., Nishino, M.N., Tsunakawa, H., Shibuya, H., Takahashi, F., Matsushima, M. and Shimizu, H.
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Journal Title
Geophys. Res. Lett.
Volume: 40
Pages: 3362-3366
DOI
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